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築40年の木造家屋でも相続税がかかる謎…所得税は“実質価値ゼロ”なのに相続税は「最低20%」になる、一見不合理な「固定資産税ルール」【税理士が解説】

築40年の木造家屋でも相続税がかかる謎…所得税は“実質価値ゼロ”なのに相続税は「最低20%」になる、一見不合理な「固定資産税ルール」【税理士が解説】

庭が課税対象になるかどうかは「鑑賞価値」で決まる

吉田課長「自宅に庭がありますが、これも相続税の対象になるのですか?」

相続税法では、庭園に関する明確な定義は設けられていません。ただし、実務上参考とする財産評価通達では、「庭園設備」として、庭木、庭石、あずまや、庭池などが例示されています(下記2.(3))。

2.附属設備等(財産評価通達92)

(3)庭園設備

①定義

庭木、庭石、あずまや、庭池などをいう。

②評価

その庭園設備の調達価額の100分の70に相当する価額によって評価する。

③調達価額

相続開始日において、その財産をその財産の現況により取得する場合の価額をいう。

これらの例示から、木や花を植え、池を造り、橋を設け、傍らにあずまやを建てるなど、鑑賞を目的として整えられた空間が「庭園設備」であると考えられます。

庭園設備は、相続開始日の時点で、その設備を現状のまま購入するとした場合の価格(=調達価額)の70%で評価します。

吉田課長「私の家の庭は庭木や庭石があるもののかなり小さいのですが、この場合でも相続税の対象になるのですか?」

相続税では、経済的な価値があるものはすべて課税の対象になります。ただし、たとえ庭木や庭石があったとしても鑑賞価値がないと判断できる状態であれば、評価額はゼロと考えます。

この点について、令和5年3月7日の国税不服審判所(以下「審判所」)の裁決事例を紹介します。

【裁決事例】個人宅の“売れない庭”に価値があると判断されたワケ

L市が公共事業を行うために、請求人の親Aさんが住んでいた家(旧自宅)が市によって収用されました。この際、Aさんは旧自宅にあった立木を移設するための補償金を受け取り、新自宅にX百万円をかけて移設し、「庭園設備」を造成しました。

その後、Aさんが亡くなり相続が発生。税務署長はこの庭園設備にも相続税評価が必要と判断し、一般財団法人M(以下「M」)に鑑定を依頼しました。そして、鑑定書で示された調達価額YY百万円を相続財産に加算し、相続税を再計算する更正処分を行いました。

請求人Bさん(相続人)は、これを不服として、審判所で争われることになりました。Bさんの主張は、下記のとおりです。

〈請求人の主張〉

(1)本件庭園設備はあくまで個人宅の庭であり、その立地条件などから考えても、庭園設備全体を一体として売却することはできない。実際に買い手も見つからないため、本件庭園設備には交換価値がない。

(2)庭園設備のなかにある立木や庭石、灯ろうなどを個別に売却するとしても、買い手がいることを前提にしても買い取り価額はZ百万円程度にしかならない。また、この庭園設備は自宅敷地内にあるもので、入場料を取れるような性質のものでもなく、宣伝効果や集客力もないため、使用価値もない。


吉田課長「裁判の結果、どうなったんですか?」

審判所は、庭園設備は家屋の固定資産税評価額には含まれていないため、別個に評価すべき財産であると判断し、税務署長の更正処分を支持しました。

また調達価額については、「例えば、庭石については、庭石商の店頭価格ではなく、課税時期において存する庭先への搬入費、据付費を含めた価額によるものと解され」ると述べています。

Bさんの主張(1)「庭園設備を一体として売却できないので価値はゼロ」という点については、

・立木の移設にX百万円をかけていること

・鑑定価額はMが複数の業者に依頼して算定したものであること

・財産評価通達92に定める「庭園設備」に該当すること

を理由に退けました。

また、主張(2)「立木や庭石、灯ろうなどを個別に売却してもZ百万円程度である」という点についても、庭園設備として評価すべきであることを前提に、下記の理由から退けました。

・立木の旧自宅からの移転費にX百万円かけていること。

・立木、庭石、灯ろう等を個別に売却するのではなく、庭園設備全体として価値を判断すべきであること。

家電や家具はどう評価される?…「一般動産」の扱い

吉田課長「先ほど、冷暖房設備が動産になる場合があるとお聞きしました。動産とはなんですか?」

動産とは、不動産以外の有体物をいいます(民法85条、86条2項)。なお、不動産とは、土地およびその定着物のことです(同条1項)。

ただし、財産評価通達では、土地およびその定着物以外の有体物であっても、家屋に含める附属設備等(前掲2.(1)①)と、たな卸商品等、牛馬等、書画骨董品、船舶は「動産」から除外しています(下記3.(1)①)。

3.動産

(1)評価単位(財産評価通達128)

①動産から除外するもの

暖房装置、冷房装置、昇降装置、昇降設備、電気設備、給排水設備、消火設備、浴そう設備等で、前掲2.(1)~(3)(財産評価通達92)に該当するものおよびたな卸商品等、牛馬等、書画骨董品、船舶(同通達132~136)を除く。除外後の動産を「一般動産」という。

②評価の単位

原則として、1個または1組ごとに評価する。ただし、家庭用動産、農耕用動産、旅館用動産等で1個または1組の価額が5万円以下のものについては、それぞれ一括して一世帯、一農家、一旅館等ごとに評価することができる。

これらの財産を動産から除外する理由は、それぞれに別の評価方法が定められているためです。これらの財産を除外したあとの動産を「一般動産」といいます。一般動産には、自動車、テレビ、冷蔵庫、パソコンなどが該当します。

一般動産は、原則として 1個または1組ごとに評価を行います。ただし、家庭用動産・農耕用動産・旅館用動産などで、1個または1組の価額が5万円以下のものについては、特例として一世帯・一農家・一旅館ごとに一括評価することができます(上記3.(1)②)。

吉田課長「一般動産は、どのように評価するのですか?」

一般動産の評価方法は、大きく2つに分かれます(下記3.(2))。

3.動産

(2)一般動産の評価(財産評価通達129、130)

①売買実例価額、精通者意見価格等が明らかな動産

原則として、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する。

②①以外の一般動産

その動産と同種および同規格の新品の相続開始日における小売価額から、その動産の製造のときから課税時期までの期間(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする)の償却費の額の合計額または減価の額を控除した金額によって評価する。

売買実例価額や精通者意見価格が明らかな場合は、それらを基準に評価します。

一方、売買実例価額などが明らかでない場合は、上記②のとおり、新品の小売価額から減価償却費を控除した金額を評価額とします。評価額の計算式は下記のとおりです。

小売価額-減価償却費の合計額=評価額

家屋・設備・動産の評価に必要な書類

吉田課長「ありがとうございます。よくわかりました。最後に、今回みてきた家屋、附属設備等、動産の評価に必要な書類を教えてください」

下記の資料を入手する必要があります。(カッコ内は入手先)。

■家屋

・家屋の登記簿謄本(法務局)

・家屋の固定資産税の評価証明書(市役所、町・村役場、東京都23区は都税事務所)

・建築中の家屋

(1)建築請負契約書

(2)建築業者が発行する建築工程表

■附属設備等、一般動産

●事業を行っている場合

……償却資産税(固定資産税)の申告書

●上記以外の場合

・附属設備等の建築施工時の外構業者の見積書・契約書

・一般動産の購入時の納品書・請求書

多田 雄司

税理士

提供元

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