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必要に応じて「飲みニケーション」も必要…金融機関にも仲介業にもできない、「事業承継支援者」に求められる“ソフトな伴走力”とは

必要に応じて「飲みニケーション」も必要…金融機関にも仲介業にもできない、「事業承継支援者」に求められる“ソフトな伴走力”とは

知識以上に重要な「対話力」…時として“飲みニケーション”も重要

事業承継支援において、私が最も強調したいのは「対話」の力です。知識はもちろん必要ですが、それ以上に、経営者の気持ちに寄り添い、本音を引き出すことが重要になります。

前半戦で行うこと…3.対話を通じて知的資産を言語化する

誤解を恐れずにいえば、経営者と酒を酌み交わしながら悩みを聞くような、人間味のあるアプローチは極めて有効です。そうした場でこそ、経営者の頭のなかに眠っている「言葉になっていない経営資源(知的資産)」が少しずつ表に出てきます。それを丁寧に言語化していかなければ、後継者へバトンを渡すことはできません。

また、事業承継計画書を作成する際も、単なる書類づくりで終わらせることなく、現経営者と後継者が腹を割って話し合うためのツールとして機能させるべきです。

前半戦で行うこと…4.後継者の「継ぐ/継がない」の判断をサポートする

「事業性評価」とは、支援者が経営者や後継者と対話しながら、事業の強み・弱みや将来性を客観的に整理するプロセスです。この「事業性評価」は、金融機関のためだけに行うものではありません。事業承継における事業性評価は、後継者自身が「この事業を継ぐべきかどうか」を見極めるために行います。

後継者には、社員として働き続ける、まったく別の分野で起業するなど、多様な人生の選択肢があります。そのなかで、あえて先代の事業を継ぐ価値があるのかどうかを判断するのは後継者自身です。

支援者はその判断を助けるために、ローカルベンチマーク※などの事業性評価ツールを使い、財務・非財務の両面から自社の強み・弱みを一緒に整理します。こうした客観的な材料を踏まえて後継者が納得して「継ぐ」と決断できなければ、承継後に待ち受ける経営の困難を乗り越えることはできません。

※ ローカルベンチマーク……中小企業庁が公表している「事業性評価ツール」で、財務指標と非財務情報を整理し、自社の強み・弱みを客観的に把握するためのシート。

そして、もし評価の結果「事業価値が乏しい」と判断されるのであれば、無理に継がせず「廃業」を選び、価値ある経営資源だけを他社へ引き継ぐという選択肢もあります。

支援者には、こうした判断を冷静かつ愛情をもってサポートする“目利き力”が求められます。

「廃業」=すべてを無にすること、ではない

「廃業」という言葉にはネガティブな響きがあります。しかし、支援者としては、この認識を改める必要があるでしょう。

廃業とは、「事業を継続しないこと」、つまり、これまで利益を生み出してきた経営資源の組み合わせを解体することに過ぎません。ここで回避すべきは、廃業そのものではなく、「価値ある経営資源が消滅してしまうこと」です。

「経営資源の引き継ぎ」という選択肢も

たとえば、家具店が閉店する場合、店舗や在庫をそのまま廃棄してしまえば社会的損失になります。しかし、顧客リストや従業員、あるいは店舗物件だけでも他社へ引き継ぐことができれば、それは立派な「経営資源引き継ぎ」です。

事業を法人という「箱」ごと承継する必要はありません。特に従業員承継や第三者承継の場合、簿外債務のリスクや不要な資産(投資用不動産や過剰な内部留保)まで抱え込んでしまっては、後継者にとって大きな負担となります。

そのため、支援者としては承継前に不要資産を個人へ移転させたり、必要な事業だけを切り出して譲渡(事業譲渡)したりするスキームを提案・支援することが求められます。

日本経済全体でみれば、小規模事業者が乱立している状態よりも、経営資源が集約され、事業規模が拡大するほうが生産性は高まります。たとえば、従業員10人の会社が3社あるよりも、1社に統合されて30人規模になったほうが、間接コストの削減や営業効率の向上によって生産性は確実に上がります。その原資によって、賃上げやDX投資も可能になるでしょう。

支援者は、単に企業の存続を願うだけでなく、時としてM&Aや経営資源の引き継ぎを通じて、業界全体の再編と生産性向上を後押しする必要があるのです。

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