
「完璧なライフプラン」を立てたつもりでも、予期せぬ出費の連続で一気に計画が崩れてしまうこともあります。「将来の資金だから……」と、NISA口座にある500万円を死守するあまり住宅ローンを滞納してしまった夫。そんな姿に冷ややかな目を向ける妻。なぜ完璧な資金計画のはずが、夫婦の溝を深める事態になってしまったのでしょうか。本記事では、1年かけて堅実なマネープランを立てていながら突然の資金ショートに陥ってしまった夫婦の事例を交えて、想定外の資金難への備え方についてFPの大泉稔氏が解説します。
「完璧な家計」のはずが…突然届いた残高不足の通知
「完璧な家計を作ったはずなのに……」
毎月16万円の住宅ローンなど、マンションにかかる費用の残高不足を知らせる書類が届きました。それを見たフウタさん(仮名・32歳)は、言葉を失いました。
新興企業で社内SEとしてプロジェクトリーダーを任されているフウタさんの年収は約650万円、月の手取りにすると約30万円です。これに加え、育休中の妻・ミナミさん(仮名・30歳)にも、育児休業給付金などで月におよそ15万円の収入がありました。
自他ともに認める「真面目」な性格のフウタさんは、子どもが生まれたことを機に、1年ほどかけて世帯収入をベースにしたライフプランを構築していました。
民間の医療保険には加入せず、生活防衛資金として「手取り額の6ヵ月分(約180万円)」を普通預金に確保。さらにNISAでの資産形成も毎月10万円行い、順調に約500万円まで育っていました。勤続10年、非の打ち所がない「順調なライフプラン」だったのです。
「貯金と傷病手当金があるから」休職しても乗り切れる家計への自信
ところが、フウタさんは仕事と育児の両立による疲労が重なり、ある病気で約1ヵ月間の入院を余儀なくされてしまいます。さらに退院後も働くことができず、数ヵ月にわたって自宅療養(休職)をしました。
休職して4日目以降は無給扱いとなりましたが、フウタさんは無計画に休職生活を迎えたわけではありません。生活防衛資金として貯めていた手取り6ヵ月分の貯金約180万円に加え、健康保険制度の「傷病手当金」があることを計算に入れていました。
給料の約3分の2(フウタさんの場合は見込額の月28万円)が非課税で受け取れるため、「この傷病手当金と180万円の貯金があれば、数ヵ月の休職は乗り切れる」と考えていました。
しかし、ここから盤石な家計の歯車が狂い始めます。
