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「あと3手詰め」の皇位継承問題が、今国会での典範改正が見送りになりうる理由/倉山満

「あと3手詰め」の皇位継承問題が、今国会での典範改正が見送りになりうる理由/倉山満

―[言論ストロングスタイル]―

 皇位継承問題で党派間の立場が整理され、今国会での皇室典範改正が射程に入ったかに見えた。ところが6月2日、朝日新聞は衆参正副議長の取りまとめ原案に「旧皇族の男系男子を皇族とする対象者は15歳以上」との限定が盛り込まれていると報道。皇室史研究家・倉山満氏は「15歳以上の根拠を答弁できなければ、今国会での典範改正を見送りもありうる」と警鐘を鳴らす(以下、倉山満氏による寄稿)。

天皇陛下の66歳の誕生日を祝う一般参賀で手を振られる天皇、皇后両陛下の長女、敬宮愛子さまと秋篠宮ご夫妻の次女、佳子さま
写真/産経新聞社

◆「あと3手詰め」の皇位継承問題

 皇位継承問題、大詰めである。将棋で言えば「あと3手詰め。ルールを知っていれば勝てる」局面である。

 これまでの流れである。皇位継承問題は安倍晋三内閣から懸案であったが、菅義偉内閣の有識者会議が提言をまとめ、岸田文雄・石破茂の二代の内閣を経て、高市早苗内閣で二つの案が議論されている。

 一つは「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」で、もう一つは「旧皇族の養子による皇籍取得」である。旧皇族とは占領軍に皇籍剥奪に追いやられた方々の子孫であり、その方たちに本来の身分を取りもどしていただこうとの話だ。

 ちなみに大きな誤解があるようだが、皇位継承問題とは「悠仁殿下にお子様が生まれなかったらどうするか」を話し合うことで、「悠仁殿下と愛子殿下のどちらが次の天皇にふさわしいか」ではない。そういうことを言っているのは、日本共産党など左翼系小会派だけである。

 これまで国会での議論は、「野田佳彦さん一人を説得する会議」と揶揄されてきた。その野田元首相が総選挙で失脚、ようやく話がまとまる方向に至った。野党第一党である中道改革連合の取りまとめ責任者は、安定的な皇位継承に関する検討本部の笠浩史(りゅう ひろふみ)本部長。笠本部長は中道の意見を60点の線でまとめた。あえて。それ以上を求めると、党内がまとまらない。

◆「適時適切」で折り合いをつけた60点合意

 野田氏の主張は「女性皇族の配偶者を皇族にしろ」であったが、それをやると日本の伝統の根幹を破壊するから他の多数の党が反対する。そこで知恵を出し、「将来、適時適切に判断する」とまとめた。たとえば、女性皇族が旧皇族と結婚することもある。その時は、女性皇族の配偶者が皇族になって何の差支えも無い。それも含めて「適時適切」である。

 これまで野田元首相が主張してきた「皇族にする」は呑めないが、「皇族にしない」が中道のとりまとめである。これが60点の意味だ。そして中道がこの線なので「あとは自民党が好きにして良い」の意味になる。

 あとは議長がとりまとめ、政府が法案化するだけの運びとなっていた。

 衆参正副議長が、取りまとめ案を作成中である。

 ところが読売新聞(5月28日付)から漏れ伝わった議長案で、第一案に関しては中道の通りのとりまとめ案にすると報じられた。

 これに即座に噛みついたのが、日本維新の会の藤田文武共同代表である。曰く、「少数意見に配慮するのは当然だが、少数意見に偏って多数意見を無視した取りまとめをするとは、どういうことか。そもそも、自分も含め誰も聞いていないのに、マスコミに漏洩するとは情報管理はどうなっているのか。もし報道されている案の通りになるなら、席を立つ」と。

当然である。しかもよりによって、「一般人の男を皇族にしろ」と主張している読売へのリーク。


配信元: 日刊SPA!

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