◆やむなく警察に通報した結果…

「ですが、しばらく待っても変化はありませんでした。あらためて管理会社に電話してみると『BBQはもうやめると言っていたんですが、まだやめてないんですか?』とのことでした。もう一度注意してやろうとベランダに出たら、逆に声をかけられ『管理会社に言いつけたみたいですけど、ここは公道なのであなたに注意される筋合いはありませ〜ん』と煽られる始末でした」
腹に据えかねた葛木さんは、警察に通報することにした。
「大事にはしたくなかったんですが、そうするしかないと思いました。警察官はすぐに来てくれたんですが、酔っ払った大学生たちは警察官にも食ってかかったんです。『ここは公道だから文句を言われる筋合いはない』と。当然、警察官に『公道でBBQが許されるわけがないだろ!』とこっぴどく叱られていました」

「女性陣は警察官に名前を控えられたのが気に食わなかったらしく。住人の大学生に『ここならOKって言ったよね!?』と責められていました。そうしたこともあってしょげたのか、その後は静かになり、報復されるようなこともありませんでした」
いや、報復がなかったのは別の要因かもしれない。以後、例の大学生の部屋の集合ポストはボコボコにされ、部屋のドアの前にもゴミがばら撒かれることが度々あったらしい。
ほかのマンションの住人たちもBBQ騒ぎを苦々しく思ったのか、はたまたほかにも恨みを買っていたのか――。
ともあれ、ハメを外したくなるほど楽しい時間こそ、周囲への思いやりを忘れぬようにするのが己のためにもなろうというものだ。
<TEXT/和泉太郎>
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◆■「公道だから自由」は、けっこう大きな勘違い
葛木さんを煽った大学生は「ここは公道なのであなたに注意される筋合いはありませ〜ん」と言い放ちました。気持ちはわからなくもないですが、この言い分、実はちょっと事情が違います。街なかでよく見かける路上ライブや、お祭りの屋台、ロケで道路を封鎖している撮影クルー――あれらはすべて、事前に警察署で「道路使用許可」を取った上で行われています。実際、2024年5月には新宿駅前で無許可の路上ライブを行ったアイドルグループのメンバーや運営会社など計10人が、道路交通法違反の疑いで書類送検される事件もありました(最終的には不起訴)。マラソン大会も、選挙カーの停車も、引っ越しトラックの長時間駐車だって、本来は許可が必要な行為。つまり公道というのは、「みんなのもの」だからこそ、誰かが独占して使う時にはきちんと手続きを踏むのがルールなのです。
警察庁によれば、根拠となるのは道路交通法第76条・77条。許可なく道路で行事や設営をすると違反となり、罰則は3か月以下の懲役または5万円以下の罰金です。当然、アパート前の道路で勝手にBBQを始めるなんていうのも、申請して許可が下りるはずもない行為。「公道だから何をしてもいい」どころか、「公道だからこそ勝手に占有してはいけない」というのが正しい理解です。
(出典:警察庁「道路使用許可の概要、申請手続等」)
それにしても、葛木さんの動き方は冷静でした。最初は穏やかに直接お願いし、ダメなら管理会社、それでもダメなら警察――感情的にぶつかるのではなく、段階を踏んで第三者を頼っていく流れは、こういうトラブルへの向き合い方として、なかなかのお手本かもしれません。

<再構成/日刊SPA!編集部>
【和泉太郎】
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め

