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「ナフサは足りている」「目詰まりが問題」と政府は言うが 代替調達で量を確保だけでは済まない困った事情

不安定なイラン情勢を背景に、深刻なナフサ不足が懸念されている。

ガソリンには多額の補助金が投下されている(写真と本文は関係ありません)

その影響で、包装袋やゴム製品、塗料や断熱材、電子部品といったさまざまな必需品が不足する事態が危惧されており、実際に一部の工場はすでに大きな打撃をうけている。

政府はこの事態に対し「中東からの輸入が減っても代替調達ができており、ナフサの供給に問題はない」といった楽観的な見解を示している。

また与党・自民党の萩生田光一幹事長代行は「『もうちょっと早く出さないと評判悪くなりますよ』というようなことも、なんとなく伝えながらです」と、あたかも業者が意図的に供給を止めているかのような発言をしているのだ。

中東産のナフサと、代替品では成分がまったく違う

そもそも、ナフサとは原油を精製する過程で取り出される粗製ガソリンである。

このナフサを、クラッカーと呼ばれる巨大な分解炉に投入し、800度以上の超高温で熱をかけ、分子の鎖を断ち切ることで、多種多様な基礎化学品に切り分ける。

それらがプラスチック、合成ゴム、合成繊維、そして塗料やシンナーへと姿を変えていくのだ。

この加工の過程は、過去何十年にもわたって蓄積された緻密な運転データの上に成り立っている。

そのうえで、原油やナフサは産地によって成分がまったく違うという問題がある。

そのため、これまで中東産のナフサを前提に調整されたクラッカーに、代替のナフサを投入しても、想定通りの成分が出てこない。

プラントの温度を上げ下げしたり、圧力を微調整したりといった試行錯誤を繰り返さなければ、目的とする品質の基礎化学品は得られないのである。

ガソリンのブレンドのために優先的にナフサが回されている

さらに、事態を複雑にしている問題がある。

ナフサを分解して得られる成分のなかには、塗料やインク、シンナー、接着剤などの重要な原料となるトルエン、キシレンといった基礎化学品がある。

いま、これらの物質が化学メーカーに渡る前に、別の目的のために引き抜かれているのだ。

それはガソリンのブレンドである。

トルエン、キシレンなどの成分は、ガソリンのオクタン価(エンジンの異常燃焼を防ぐ指標)を高める添加剤として用いられている。

イラン情勢の影響で代替原油が導入され、製油所全体の生産バランスが崩れているなか、品質の高いガソリンを安定的に市場に供給するために、トルエン、キシレンなどが優先的に回されているのだ。

現在、政府はガソリンなどの燃料油に対して多額の補助金を投入し、価格をコントロールしている。

そのため、製油所にとっては需要が安定しているガソリン生産を優先する経済的な動機が働くことは十分考えられる。

結果として、代替原料への対応が必要なナフサ分解設備については、生産効率の低下や稼働調整が生じている可能性も否定できない。

第一ライフ資産運用経済研究所の熊野英生・主席エコノミストは、6月1日付の報告書で、

「ガソリンなどの燃料に回っている原油をもっとナフサに回した方がよい」
「日本では、特にガソリンの使用量を抑えることもせず、ガソリン消費をそのまま促進するような価格維持政策をしており、そこにはちぐはぐ感がある」

などと指摘している。

配信元: J-CASTニュース

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