◆無理やり実家に帰らせても「自分たちは先に逝ってしまうから……」

杏:「許す・許さないではないけれど、嫌なものは嫌だ」と言われたことがあります。でも、写真集を出したときは褒めてくれたんですよ。「紙媒体が廃れている今の世の中で写真集が出ることはすごい」って。根本的に父は、私とお母さんには甘いんですよね。
母:そういえば、最近は私も家を留守にすることが増えたので夫に「嫌?」と聞いたら「君が笑顔でいることが僕は一番幸せなんだ」って言っていました。
――突然のノロケがきた(笑)!
杏:父は私たちが喜んでいて賑やかにしているのが嬉しいんじゃないかと思います。
母:それ以上に、悲しんでいる姿を見たくないんでしょう。もし娘が仕事がなくてツラいと泣いているなら「帰ってこい」と言うつもりだったと思います。でも、楽しそうでしたからね。それに、もしも無理やり仕事を辞めさせて、実家に引っ張って帰らせたとしても、私たちが先に逝ってしまうことは間違いないことですから……。
杏:だからこそ、私も結果を残さなきゃいけないと思っているんですよ。
――笹倉さんは昨年、事務所を辞めてフリー女優になりました。何か変化はありましたか?
母:フリーになってから親子の会話が増えていますね。これまで詳しい仕事内容をあまり知らなかったのですが、今は細かい話もけっこうしてくれるんですよ。
杏:さすがに「今日はカメラ前で性行為をしてくるね」までは報告しないですけど(笑)。でも、ちょうど母が仕事で自分のことを発信したり、デザインにも挑戦し始めたタイミングなのもあって、お互いに相談したり褒め合ったりするようになったんです。
母:娘が今1人で頑張っている姿を見て、すごいなと素直に思うんですよ。私も必死に勉強しながらやっているからこそわかる。関係性が密になっていますね。
――そういえば、笹倉さんのきょうだいはお仕事のことを知っているのですか?
母:長男には何も言ってないんですよ。生真面目な子なので……。
杏:ずっと「確定申告している仕事だから大丈夫」って言っていたんですが、そろそろ誤魔化しきれなくなってきました(笑)。妹には母がいつの間にか伝えていましたね。
母:ショックかもしれないけど、女同士だし受け入れてくれると思ったので。
――そのときの妹さんの反応は?
母:覚えてないです(笑)。でも、「え? 何それ」みたいな感じだったような……。
杏:私は「こんなお姉ちゃんでごめんね」って言いました。でも妹の方から「何をしていてもお姉ちゃんはお姉ちゃんだから。頑張っているのは知っているから応援してるよ」って。家族の中で一番良いことを言ってくれた(笑)。
――最後にお母様から笹倉さんに伝えたいことはありますか?
母:幸せでいて欲しい、ということだけですね。ただ、老後のことは少し心配しています。今後は会社を立ち上げるとか、娘自身が周囲のサポートをする仕組みをつくってあげるとかしていけば、親としても安心だし、周りからの信頼度も変わってくるはずですよ。
――めちゃくちゃ現実的なアドバイス(笑)。
母:でも娘のことは、心から偉いと思っています。SNSで7年間毎日「おはよう」投稿をしているのとか、本当にすごい。自分がSNSの勉強を始めてから、その大変さに気付きました。
杏:今、ようやく私のしていることを認めてもらえた気がしています。褒められるまで、本当に長かった~!でもこれが、私の原動力の1つなんですよね。ある意味、私にとって最強の敵は、家族なのかもしれない(笑)。
母:この記事を読んで、色々な感想があると思う。よく言う人も悪く言う人もいると思う。でも、生まれてきたことには意味があると思う。人生は一瞬、命をかけて本気で生きよう!
――ありがとうございました!
<取材・文・撮影/もちづき千代子>
―[笹倉杏]―

