
梅雨の夜はムシムシしてなかなか寝つけないもの。しかも実は、更年期はほかの世代に比べてとりわけ寝苦しくなるってご存知でしたか?
そんな梅雨の夜の睡眠の質を高めるには、薬膳が最適。旬を迎えた夏野菜をとり入れて、快適な睡眠を手に入れましょう!
なぜ梅雨の夜は寝苦しい?更年期世代が「2倍」眠れなくなる理由

だんだんと蒸し暑くなり、なかなか寝つけない夜も増えてきましたね。梅雨の時期は寝苦しくなるのも悩みのひとつですが、なぜ寝苦しくなるのかと言うと、高い湿度によって体内の熱が外へ発散されにくくなることが原因です。
通常、人間の体は寝る時間が近づくと体の熱を外に逃がすために手足から発汗し、その汗が蒸発する際の気化熱を利用して深部体温(内臓などの体の中心の温度)を下げようとします。深部体温が下がると自律神経がリラックスモードになり、眠りにつきやすくなるのです。しかし梅雨の時期は湿度が高く汗が蒸発しにくくなるため、体内に熱がこもって深部体温がなかなか下がらず、結果、寝つきが悪くなったり睡眠が浅くなったりしがちなのです。
東洋医学では、不調の原因となる過剰な湿気を「湿邪(しつじゃ)」と呼びます。そして梅雨のように湿気が多い季節は、湿邪は外気に存在するだけでなく、体の内側にも発生していると考えられています。また、湿邪は熱と結びついて「湿熱(しつねつ)」と呼ばれる状態にもなりやすく、高温多湿なこの時期は湿熱が体内にこもりがちになります。
これだけでもつらい状況なのですが、さらに更年期世代は体内の潤い(水分)が不足気味な「陰虚(いんきょ)」と呼ばれる体質であることが多く、体の熱が抑えきれずにほてりやすい傾向が。そして陰虚体質の場合、特に夜寝るときにほてりやすくなるのですが、湿度が高いこの時期はそのほてりの熱が冷めにくい状態に。つまり、深部体温が下がりにくいうえにほてりも冷めにくくなるために、より一層強く熱がこもって寝苦しくなりやすいのです。
トマトやナスだけはNG!更年期の体を冷やしすぎない「薬味」の魔力

つまり、更年期の寝苦しさをやわらげるには、
①こもった熱をとる
②湿邪をとる
③潤いを補う(陰虚によるほてり対策として)
の3つを意識する必要があることになります。しかし、熱を冷ますために水分をとりすぎると湿邪のもととなり、湿邪をとろうと発汗を促すと潤い不足になる心配も。冷たい飲食物は湿邪をためやすいので、これもとり過ぎてはいけません。こっちを立てればあっちが立たず、という複雑な状況が絡み合っているのです。
この状況を解決するには、薬膳がおすすめ。薬膳なら冷たいものをとらずに体にこもった熱を冷ますことができ、たくさん汗をかかなくても体内の湿邪をとり除くことができ、水分のとり過ぎを防ぎつつ潤いを補うことができるのです。特に夕食は、次のふたつのポイントをおさえて献立を考えてみるといいでしょう。
◉「夏野菜+薬味」でこもった熱と湿邪をとる
トマト、きゅうり、なす、ズッキーニ、ゴーヤなどの夏野菜には「清熱(せいねつ)」と呼ばれる熱をとる作用があります。これらの夏野菜に、ねぎ、しょうが、大葉、みょうがなどの薬味を加えると、湿邪をとる効果もプラスされます。トマトとみょうがの塩昆布あえ、なすとしょうがの煮びたし、ズッキーニと大葉のレモンソテー、たたききゅうりとネギの黒酢あえ……というように、「夏野菜+薬味」のメニューを積極的にとり入れてみてください。ただし胃腸を冷やさないように、夏野菜は冷たい状態ではなく常温以上にしてとるといいでしょう。
◉「潤い食材+薬味」でほてりをとる
陰虚によるほてりを静めるためには、冷やすのではなく、不足している潤いを補うことが大切。潤いとは単なる水ではなく、血液や細胞などの組織内に浸透する体液であり、その体液を補うには、ただ水分をとるよりも「滋陰(じいん)」と呼ばれる潤いを補う作用を持つ食材をよくとるほうが効果的です。水分をとりすぎると体内の湿邪を増やす可能性もあるので、注意してください。この時期におすすめの滋陰の食材は、やまいも、アスパラガス、豆腐、豚肉、ほたてなど。滋陰の食材にも薬味を加えてアレンジすると、湿邪対策をしながら必要な潤いを補うメニューとなります。いずれも常温以上でとりましょう。

