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高市早苗はなぜ「答えない政治家」になったのか…政治学者が感じた失望「諸般の事情」「秘書を信じる」の共通点

高市早苗はなぜ「答えない政治家」になったのか…政治学者が感じた失望「諸般の事情」「秘書を信じる」の共通点

◆「秘書を信じる」という構文の罠

さらに、ネガティブキャンペーン動画をめぐる報道への対応も見逃せない。週刊誌報道では高市陣営側の関与が問題視され、高市首相は国会で秘書を信じる趣旨の答弁をしたとされる。

「私は知りません」では冷たい。「秘書を信じます」と言えば温かい。けれども構文として見れば、確認の主体を自分から側近へ移している。責任を否定しながら、責任の中心を少し横へずらしているのだ。

◆首相の椅子には「答えない装置」が内蔵されている。

森川友義氏。”政治家構文”の詳細は著書『政治家の「答えない」技術』に詳しい
もちろん、高市氏だけを責めるのは公平ではない。首相という職務は、だれに対しても政治家構文を要求する。明快な答えは失言になる。率直な本音は政局になる。踏み込んだ説明は外交問題になる。

つまり、首相の椅子には、答えない技術を学ばせる装置が内蔵されているのだ。

それでも私は、高市氏にはもう少し粘ってほしかった。言葉の強さを看板にしてきた政治家が、「諸般の事情」「担当大臣」「秘書を信じる」という方向へ寄っていく姿は、政治家構文の感染力を示している。

政治家構文は、弱い政治家だけの病ではない。強い言葉を持つ政治家にも感染する。首相になるとは、答える力を試されることではなく、答えない誘惑と戦うことなのかもしれない。

<文/森川友義>

【森川友義】
早稲田大学名誉教授。元早稲田大学国際教養学部教授。政治学博士。1955年群馬県生まれ。早稲田大学政経学部卒、ボストン大学政治学修士号、オレゴン大学政治学博士号取得。国連勤務後、米国ルイス・クラーク大学助教、オレゴン大学客員准教授等を経て、現在に至る。専門は日本政治、恋愛学、進化政治学。政治学の著書としては『60年安保 6人の証言』(編著、同時代社)、『若者は、選挙に行かないせいで四〇〇〇万円も損している!?』、『どうする!依存大国ニッポン』(ディスカヴァートゥエンティワン社)、『生き延びるための政治学』(弘文堂)等がある
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