◆ホームランを捨てた、生き残り策
プレイステーションの開発に強みを持っていたスクエニが、ニンテンドースイッチなどの任天堂プラットフォーム展開を強力に推進すると発表したのです。任天堂のゲーム機は、プレイステーションとは対極に位置します。年齢を問わず家族で楽しむことができ、ゲームのライトユーザーが中心になっています。しかも、スクエニは選択と集中を進めるため、数々のモバイルゲームから撤退しました。2025年から2026年にかけては、「星のドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス」「スクールガールストライカーズ2」などの長期間運営していたタイトルを打ち切りました。
その影響もあって売上高は減少傾向にあります。2026年3月期の売上高は2976億円。2022年3月期は3652億円ありました。700億円近く下がっているのです。一方、開発タイトルを絞り込んでいるため、利益率は高まりました。2026年3月期の営業利益率は18%、2022年3月期は16%です。
売上成長に対しては必然的に看板タイトルへの依存度が大きくなります。そして、特大ホームランを狙うよりも確実なヒットを出して売上と利益のバランスをとる方が、会社として健全な成長ができるでしょう。ファイナルファンタジーの最新作は経営陣の期待する数字に届かず、経営戦略の変更にまで迫られる結果になったからです。マルチプラットフォーム戦略を打ち出したことと、足元の売上と利益のバランスを取ろうとした結果、明るくワクワクするような王道ファンタジーが顔を出したと考えられます。
◆「鳥山明の不在」をどう乗り越えるか
「ドラクエ12」の新たな映像を巡っては、キャラクターの違和感が拭えないという声が聞こえてきます。これは、2024年3月1日に鳥山明さんが死去した影響があるのではないでしょうか。キャラクターデザインは当初のダークな世界観を基に作っているはずで、路線変更後の修正がかなわなかった可能性が多いにあります。また、「ドラクエ12」の制作発表は2021年5月でしたが、そこから5年経過したにも関わらず、お披露目された映像は開発途上という印象が強いものででした。映像の公開は、ゲームの方向性が変わったことをファンに示したかったという意図があるのでしょう。リリースまでにはしばらく時間がかかる模様で、ファンは新たな情報を心待ちにしています。
<TEXT/不破聡>
【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界

