◆主犯格は、父親に「泣きながら土下座」
それから1カ月ほどが過ぎたころ。前田さんのもとに、県警の先輩と野菜を調達してくれたバーベキューメンバーから連絡が来た。「タレコミ以来、自治会と連携を取り、見回りを強化してくれていたらしいんです。そこになにも知らないAとヤツの友達連中が来て、不法投棄をした瞬間をばっちり押さえられたようでした。ちなみに、Aの父親は地元の建設会社を経営していて、行政ともベッタリの関係です。なのですぐに不法投棄の話は漏れ、Aはカンカンに怒った父親に会社をクビにすると宣言されたとか。

◆無知や無関心以上に恐ろしいのは…
無知や無関心が、判断を誤らせてしまうことは少なくない。だが、前田さんは無知や無関心以上にもっと恐ろしいものがあると語る。「冷静に考えれば、どんな場所でも不法投棄が許されているわけがないとわかるはず。それなのに、場の空気に飲まれてしまって、一時は自分もゴミを放置してしまったのです。
野菜の子も同じですよね。ご家族の苦労を知っているのに、トラブルが大きくなるまで同根であることに気がつけず、『いつもみんながやってること』と、問題視できなかった。
主犯格であるA含め、おおごとになってもなお連絡がない4人とは、もう縁を切るつもりです。反省すらできないような連中と仲良くしていた自分が恥ずかしいし、またいつ巻き込み事故に遭うかもわからないですから」
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「知らなかったから」では済まないことがある。「みんなやってるから」問題ないとは限らない。
特に火おこしや川遊びは、危険が伴う活動だ。事前に、自らと周辺地域の人々を守るためのルールをしっかり学び、実践せねばならない。それを怠ったまま楽しいひとときは過ごせないことを、ゆめゆめお忘れなきように。
<TEXT/高橋マナブ>
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今回のエピソード、密告という選択について、賛否はあるかもしれません。それでも、ゴミを山に捨てる行為そのものは、決して“地元のルール”で許される話ではないはずです。
「不法投棄」と聞くと、家電や古タイヤを山中に捨てるような、いかにも悪質なケースを想像しがち。けれど法律上は、BBQの食べ残しや空き缶を山林にまとめて置いてくる――その行為も不法投棄にあたるそうです。廃棄物処理法は、個人で5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその併科、法人なら3億円以下の罰金という重い刑が定められています。
とはいえ、BBQ後のゴミ置き去りで実際に逮捕・送検された報道は、調べた限り見当たりませんでした。けれど、各地で「BBQ禁止」「有料化」の動きが広がり、河川敷の見回りやパトロールが強化されているのもまた事実。岐阜県の河川ごみ実態調査でも、川遊びやキャンプなどのレジャー活動による河川ごみへの影響が指摘されています(岐阜県『河川ごみ実態調査の結果』)。
しかも、放置された食べ残しや生ゴミは、クマやイノシシといった野生動物を人里に引き寄せる誘因物にもなる――環境省も「市街地や集落周辺の生ゴミ、収穫残渣等の誘引物の管理徹底」を繰り返し呼びかけています(環境省『クマ被害対策等に関する関係省庁連絡会議』資料)。自分たちが楽しんだあとに残したものが、思いがけない形で誰かの迷惑につながっていく。そう考えると、「持ち帰る」という当たり前の一手間が、ずいぶん重みを持って見えてきます。
言い出しにくい場面で、それでも声を上げた人がいた――。今回のエピソードが残すのは、そんな小さな勇気の記録なのかもしれません。

【高橋マナブ】
1979年生まれ。雑誌編集者→IT企業でニュースサイトの立ち上げ→民放テレビ局で番組制作と様々なエンタメ業界を渡り歩く。その後、フリーとなりエンタメ関連の記事執筆、映像編集など行っている

