◆比較文化論で導く、日本代表の新たな強さ
こういった過程を経て、欧州化は最終的に次のような形として表われる。欧州キリスト教文化的な「自分が何者か(自分の特性が何か)をはっきりと認識し、年齢に関係なく意見を主張しながら、みんなの利益(チームの勝利)のために力を発揮できる個人」「そしてその個人が集まるチーム」へと変わっていくこと。
これは従来の日本の仏教・儒教文化的な「先生や先輩、つまりは年長者の言うことを遮二無二聞き、ときに自己犠牲を美徳として頑張る」という姿からの変化だ。
シンプルにいって「個のない集団」よりも「個をもつ集団」のほうが強い。そういったキリスト教文化圏の国々が、サッカーの歴史では結果を残してきたし、日本代表もまずはそうなっていくべきということだ。
これが今まで解明されてこなかった「日本代表にプラスアルファとして必要な要素」だと考えている。戦術論やフィジカルではない、比較文化論から導き出されるメンタリティの話だ。

【吉崎エイジーニョ】
1974年、北九州市生まれ。大阪外国語大学(現大阪大学外国語学部)朝鮮語科卒。『Number』『週刊サッカーマガジン』で連載を始め、1997 年に韓国、2005 年にドイツで暮らした。日韓欧の比較で見える「日本とは何か?」を描く。著書に『メッシと滅私』(集英社新書)、翻訳書に『パク・チソン自伝 名もなき挑戦: 世界最高峰にたどり着けた理由』(小学館集英社プロダクション)、『ホン・ミョンボ』(実業之日本社)などのほか、教育関連書、北朝鮮関連翻訳本などを手掛ける。

