◆一方で、評価が分かれそうな部分も…
一方で、評価が分かれそうな部分もあります。それは、あまりにもフランクな言葉遣いです。
オランダのガクポ選手を評する際、本田氏は何度も「ウザい」という言葉を使っていました。もちろん、「ウザい」という表現は日常語として広く浸透しており、多くの人がニュアンスを共有できます。相手にとって嫌な動きをする選手を表現する言葉としては、決して間違っていません。
ただ、こうしたカジュアルな言葉は、ここぞという決定的な場面で使うからこそ効果を発揮します。巧みな駆け引きで日本の守備陣を翻弄したときや、圧倒的なフィジカルでボールを収めたときに「うわぁ、ウザいわ」と言えば、その一言に説得力が生まれます。
しかし、今回の中継では「ウザい」がやや多用されていました。その結果、本来は批評のスパイスとなるはずの言葉が、次第に効力を失ってしまった印象もあります。カジュアルさが武器であるからこそ、その切り札を使いすぎるともったいないのです。
◆解説者・本田圭佑の成長に期待
もっとも、これは欠点というより、進化の余地と言うべきでしょう。現在のラフでアバウトなトーンを保ちながら、表現のバリエーションを増やし、場面ごとに言葉を使い分けられるようになれば、サッカー解説の世界で本田圭佑氏は唯一無二の存在になるはずです。
日本代表の躍進とともに、解説者・本田圭佑の成長にも注目が集まる今大会。代表が目指す「最高の景色」を目にしたとき、本田節はどう炸裂するのでしょうか。
文/石黒隆之
【石黒隆之】
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。X: @TakayukiIshigu4

