
厚生労働省の「令和6年(2024年)人口動態統計」によると、年間の離婚件数約18.6万件のうち、同居期間が「20年以上」となる夫婦の離婚は4万686組に上ります。これは離婚全体の約21.9%にあたり、もはや「5組に1組以上が熟年離婚を選択している」というのが現代のリアルな夫婦の姿です。子育てが一段落したタイミングや、定年退職などを機に長年の夫婦生活にピリオドを打つケースが増えていますが、その背景には「長年積み重なった不満や諦め」が隠されていることが少なくありません。
月収120万円・エリートサラリーマンの小遣いが「月3万円」の理由
都内の企業で役職を務めるヨシトさん(仮名/51歳)の月収は120万円。同世代の平均を大きく上回る高収入を得ていながら、彼の財布に入っているお小遣いは、毎月わずか3万円です。
「コーヒー1杯買うのも、昼飯に塩おにぎり以外のおにぎりを選ぶのも、一瞬ためらいます。自分がこれだけ稼いでいるのに、どうしてこんなに惨めな思いをしなければならないのか……」
そう零すヨシトさん。しかし、彼は妻のユミさん(仮名/49歳)が決めた家計ルールに対して、一切の反論を許されていません。エリート夫が妻に経済的な主導権を握られている背景には、過去の過ちがありました。
ほんの出来心…15年前に止まったままの時計
夫婦のパワーバランスが決定的に崩れたのは、いまから15年前のことでした。当時36歳、仕事も波に乗りはじめていたヨシトさんは、出来心から社内の女性と不倫関係に陥ってしまいます。
それが妻のユミさんに発覚したとき、双方の実家を巻き込んだ大修羅場を迎えました。激怒したユミさんから突きつけられた条件は、「いますぐ離婚して慰謝料を払い、子どもたちの親権を渡すか」、それとも「離婚しない代わりに、今後のお金の管理をすべて私に委ねるか」の二者択一でした。
当時、まだ幼かった子どもたちと離れたくなかったこと、さらに、相手女性が社内の人であったことから、自分の不貞行為によって社会的信用を失うことを恐れたヨシトさんは、後者を選択しました。
この日を境に、ヨシトさんの給与口座のキャッシュカードと通帳はすべてユミさんの手に渡り、「お小遣いは月3万円まで」というルールが言い渡されたのです。
あの日から15年。子どもたちは高校生になり、ヨシトさんも社内で昇進を重ねてきました。この間、ヨシトさんはただひたすらに家族のため、仕事に身を粉にして尽くしてきた自負があります。しかし、我が家の時計は、15年前の修羅場のまま、1秒も進んでいないかのようでした。
毎夜繰り返される「尋問」と、消えない執行猶予の身
会社での役職も上がったヨシトさんは、部下を連れての飲み会や、取引先との付き合いなど、ビジネス上の交際費が必要になります。さすがにこれらは月3万円のお小遣いでは賄えないため、ユミさんから別途支給してもらう約束にはなっています。しかし、ここにも息の詰まるような管理体制が敷かれていました。
ヨシトさんが夜、お酒を飲んで帰宅すると、玄関を開けた先にユミさんが待ち構えています。ヨシトさんは酔った頭のまま、その日に使った交際費のレシートをすべてユミさんに提出し、その場で確認を受けなければなりません。
「この『一品料理』ってなに? 2軒目のスナック、本当に男の人だけだったの?」
「参加人数と、合計金額の割り勘の計算が合わないんだけど」
ユミさんはレシートの日時、店舗、金額を細かくチェックします。少しでも不審な点があれば、風呂に入ることも寝ることもできません。
