老後幸せになる人は、売却前から「第二の人生設計」をしている
では、売却後に穏やかで充実した老後を送りやすい人は、なにをしているのでしょうか。共通しているのは、「売却前から準備を始めている」点です。具体的には、下記の3点が挙げられます。
1.セカンドライフのスケジュールを立てる
健康や家族との過ごし方など、各項目ごとに現状を可視化したうえで、目標を決めます。
・健康:週何回運動するか
・家族との時間:月に何回一緒に食事をするか
・社会との接点:所属コミュニティはいくつあるか
・学び:1年でなにを学びたいか
・貢献:誰になにを渡すか
など
「なにをして過ごすか」「どこに生きがいを置くか」「週の予定をどう埋めるか」、できれば売却前にまとめておきましょう。
経営者を卒業したらとたんに時間が増えますから、単に趣味を増やすだけでは不十分です。各項目をスケジュールに落とし込むことで、不安が軽減されるはずです。
2.段階的に移行する
いきなり「0か100か」で切り替えるのではなく、顧問として1〜3年ほど残り、引継ぎと並行して自分の生活リズムを整えていきます。仕事量を徐々に減らしながら新しい活動を増やす“フェードアウト設計”は、心理的な負担を軽減します。
いきなり毎日が休日になるよりも、週のなかに適度な“締め切り”があるほうが、生活のリズムが崩れにくいのです。
3.家族との対話を最優先にする
売却後は時間が増える分、夫婦の価値観の違いが表面化しやすくなります。住む場所や旅行や移住の希望、子や孫への支援の範囲、お金の使い方の基準などを、早い段階ですり合わせておくことが、後々の幸福度を大きく左右します。
特に、海外拠点の購入や長期滞在といった大きな意思決定は、「楽しい非日常」ではなく現実の延長線上として捉えることが重要です。
また、自社を売却して売却益を得た瞬間から、税務や相続をはじめ考えるべきことが一気に増えます。そのため、相談先を選ぶ際は、説明責任・透明性・独立性を軸に慎重に選ぶようにしましょう。
資産管理会社の活用、贈与、保有資産の組み替えなどは、運用と税務を切り離して考えるとトラブルの原因になります。老後の安心のためにはウェルス・マネジメントの専門家に相談することをおすすめします。
たとえ自社を高額で売却できたとしても、それは決して“贅沢の許可証”ではありません。売却後の幸せは金額ではなく、役割・人間関係・健康・資産防衛のバランスで決まります。
売却益は人生を再設計するための資源として、M&Aを検討し始めた段階から、第二の人生の設計図づくりも同時に始めるといいでしょう。
岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
