【元麻布 ささ野】で体感する“普段使いできる贅沢”。二人の実力派料理人が紡ぐ、鮨割烹と天ぷらの世界|東京・元麻布

【元麻布 ささ野】で体感する“普段使いできる贅沢”。二人の実力派料理人が紡ぐ、鮨割烹と天ぷらの世界|東京・元麻布

二人の料理人がひとつの空間で響き合う、「鮨割烹」と「天ぷら」の静と動

気品ある佇まいの「元麻布ヒルズ」。その車寄せにひっそりと佇む【元麻布 ささ野】

六本木、広尾、麻布十番に囲まれながらも、神社仏閣の緑と大使館の国際的な情緒が同居する、都心でも稀有な邸宅街・元麻布。そんな一等地でシンボルとして君臨する「元麻布ヒルズ」内に誕生したのが【元麻布 ささ野】です。料理監修を手掛けるのは、【マンダリン オリエンタルホテル 東京】の初代総料理長も務めた山本秀正さん。日本料理の華である「鮨割烹」と「天ぷら」、この対照的な二つのアプローチを同じ空間にいながらにして贅沢に堪能できる趣向が、早くも美食家たちの視線を集めています。

店内には多様なビジネス・プライベートのシーンに寄り添う、シックで落ち着いたテーブル席、個室がある

プライベート空間を確保しながらも圧迫感を与えない、天井部分に空きのある4名用半個室

枯山水の坪庭がある6名用個室。このほかに14名用個室もある

同店には、二つの独立したカウンターがあります。

まず、銅製の揚げ鍋が目を引く「天ぷらカウンター」(7席)です。弾ける油の音と香ばしい薫りがダイナミックに五感を刺激する、まさに“動”の特等席。同店を統括する総料理長・橋本竜児さんが立つこの「天ぷらカウンター」では、食材に衣を纏わせる手前のわずかな“ひと手間”にまで神経を注ぐ、寡黙で精緻な職人技が目の前で繰り広げられます。パチパチと軽快に響く油の音とふくよかな香りに包まれる時間は、まさにカウンター席だけの特権です。

躍動感あふれる「天ぷらカウンター」

対照的に、白木を基調にした「鮨割烹カウンター」(6席)は、計算されたやわらかな陰影が料理を美しく際立たせる“静”の空間に仕上がっています。そしてこの日は、こちらの「鮨割烹カウンター」でコース料理をいただきました。

凛とした空気が心地よい「鮨割烹カウンター」

感性豊かな料理人がつくる、割烹料理と鮨の至福のディナー

「鮨割烹」料理長の渡邉ひかるさん。名店仕込みの確かな技術をベースに、自由で瑞々しい感性を一皿に宿す

今回いただいたのは、渡邉さんが板場に立つディナーの『鮨割烹コース』(19,712円・税サ込)。渡邉さんは、若いながらもどこか肝の据わった安心感のあるキャラクターが印象的な料理人です。日本料理や鮨の固定概念にとらわれず、「自分が好きな食材をどう日本料理に落とし込むか」を追求する彼女の板場からは、随所に自由な発想と真摯な創意工夫が伝わってきます。

コースの幕開けにふさわしい、しっかりとした味わいのシャンパーニュ。ティエリー・ウリー「ブラン・ド・ノワール グラン・クリュ」

コースの幕開けを引き立てるのは、お酒のセレクト。最初の乾杯には、黒ブドウ100%で造られる「ブラン・ド・ノワール」のシャンパーニュが供されます。どっしりとした輪郭のある豊かな味わいが、これから始まる力強い旬のドラマをやさしく受け止めてくれます。

そんな贅沢なディナーは、繊細な包丁さばきと美しい所作から生まれる「旬料理5品」からスタートします。

『茄子とゴマのお料理』

1品目は『茄子とゴマのお料理』。焼き茄子に濃厚なゴマベースのお出汁を合わせ、大葉のオイルと花穂(はなほ)をあしらった一品です。茄子とゴマの組み合わせは、一見するとコクが勝って重たい印象になりがちですが、大葉の爽やかな香りを効かせることで、驚くほどさっぱりとした夏らしい季節感を演出しています。当初は茗荷も検討したものの、主張が強すぎるため大葉のみに絞り込んだのだそう。渡邉さんの「引き算の美学」が光る、鮮やかな幕開けです。

『水ダコ』

2品目は『水ダコ』。丁寧に柔らかく炊き上げられた水ダコの上には、キリッとしたワサビが添えられており、そのままシンプルにいただくスタイル。噛みしめるほどにタコ本来の上品な甘みが口いっぱいに広がります。

『トマトと車海老、サクラエビの春巻き』

3品目は、渡邉さんのエッセンスが凝縮された『トマトと車海老、サクラエビの春巻き』。サクサクと軽快な音を立てる皮のなかに、車海老、桜エビ、そして実山椒が忍ばせてあります。ピリッときいた実山椒と、しっかりとしたお出汁の旨みが、トマトの酸味・甘みと完璧に調和。鮨コースの途中でトマトが登場するのは珍しいですが、大のトマト好きだという渡邉さんが「どうしても組み込みたかった」というだけあり、素材同士の相乗効果が見事な一品。

料理の濃厚な旨みに寄り添う、2019年ヴィンテージの「シャブリ プルミエ・クリュ」

『ヤングコーンとハマグリのお料理』

4品目は『ヤングコーンとハマグリのお料理』。大ぶりのハマグリから出た濃厚な旨みとともに、ヤングコーンの「ひげ」の部分もしっとりと調理されています。ヤングコーンのひげは香ばしく焼いたものでいただく機会が多いですが、これほどお出汁を湛えてしっとり柔らかく仕上げられたものは初めての経験。驚くほど柔らかく、滋味深い出汁を含んでいて美味。

『冬瓜とアジの冷やし鉢』

5品目の締めくくりは『冬瓜とアジの冷やし鉢』。すっきりと炊かれた冬瓜と、脂の乗ったアジを合わせた冷たい鉢物です。上にはアクセントとして梅肉とカツオの酒盗のジュレが乗せられており、ジュレの深いコクと梅の酸味が全体を涼やかにまとめ上げています。

すっきりとした辛口の味わいで、握りの旨みを引き立てる「紀土 純米吟醸 カラクチキッド」

旬料理の余韻に浸っていると、いよいよコースの主役である「鮨10貫」と「細巻」が登場します。名店で磨き上げられた確かな技術が生む握りは、口に含んだ瞬間にハラリとほどける絶妙なバランス。ネタの厚みや隠し包丁の入れ方、温度帯にいたるまで徹底的に計算されており、噛みしめるほどに素材の瑞々しい旨みが広がります。

『マグロの赤身』

ここで驚くのが、コースの1貫目にいきなり「鮪」からスタートする点です。一般的なお鮨のコースでは、鮪は中盤以降のハイライトとして登場することが多いもの。しかし同店では、「まだお腹が空いていて、お客様の味覚が最もはっきりしているうちに、一番おいしい鮪をしっかりと楽しんでもらいたい」という思いから、あえてこの順番を採用しています。確かに、まだ満腹ではないまっさらな状態でいただく鮪は、その酸味、脂の甘み、香りのクオリティがくっきりとダイレクトに伝わってきます。

『中トロ』

『小肌』

『イカ』

『鯖の棒寿司』

『きす』

『ウニの軍艦巻き』

『海老』

『穴子』

コースは、冒頭の醤油に美しく漬け込まれた深い色合いの『マグロの赤身』から、濃厚な甘い脂が舌の上で溶けるような『中トロ』へと続き、一気に心を掴まれます。
その後も、江戸前寿司の職人の技術が詰まった、絶妙な締め加減の『小肌』、瑞々しい『イカ』、香ばしさと旨みが凝縮した『鯖の棒寿司』、江戸前の代表的な夏ネタである『きす』、身の厚い『鰆(サワラ)』、磯の濃厚な香りが広がる『ウニの軍艦巻き』、ぷりっとした食感の『海老』、そして口の中でふんわりとほどける『穴子』まで、一瞬たりとも飽きさせない緩急の手数で魅了してくれます。

『かんぴょう巻き』

「お腹がいっぱいになった最後に重くならないように」という配慮が感じられる、甘さ控えめで上品な玉子焼き。そして出汁の香りがじんわりと広がる温かな赤出汁を挟み、最後を締めくくるのは『抹茶のアイスクリーム』です。

『玉子焼き』

抹茶のアイスクリームの上には、黒胡麻塩を使った薄く焼いた和風のクッキーが添えられ、鮮やかなオレンジ色のあんずソースが彩ります。お鮨コースの後でも、決して甘すぎず、黒胡麻塩の香ばしい風味、あんずのさっぱりとした酸味、そしてチーズのようなコクが美しく調和。お口直しにぴったりの、素晴らしいデザートでコースは幕を閉じます。

「お腹が空いているうちにおいしいものを」というコース構成の優しさから、最後のデザートの引き算にいたるまで、細やかな配慮が息づく素晴らしいクオリティでした。

『抹茶のアイスクリーム』

同店では、ディナーだけでなく、気軽にその技術に触れられるランチも3,000円前後から展開。天ぷらカウンターでは贅沢な『天丼』、テーブル席などでは『海鮮丼』といった、日常使いしやすいメニューがラインアップされているのも嬉しいポイントです。

実はこれまで、ディナータイムにおいては天ぷらと鮨割烹を同時に掛け合わせるメニュー展開はなく、独立したそれぞれのカウンターで珠玉のコースを堪能するスタイルをとっていました。しかし、一軒のなかに二つの王道が同居する【ささ野】ならではの強みを活かし、2026年7月上旬から「天ぷら」と「鮨割烹」の双方を一度に欲張れる待望の新コースがいよいよスタートします!


特別な日だけでなく、「ちょっとおいしいものが食べたい」という日常のご褒美に、いつでも暖簾をくぐりたくなる【元麻布 ささ野】。元麻布という一等地にありながら、大々的な看板を出さない隠れ家的なロケーション、そして価格以上の満足感と心地よさを約束してくれる、大人のための名店がまた一つ誕生しました。今回は渡邉料理長の鮨割烹に酔いしれましたが、次回はぜひ、橋本総料理長が目の前で揚げる天ぷらをお目当てに、その躍動的な妙技を五感で味わってみたいと思います。

配信元: ヒトサラMAGAZINE

あなたにおすすめ