「ステーブルコイン」は円増刷の“裏口”に過ぎない
日本もまた、全く同じ道を、すでに歩み始めているのだ。
2023年6月、日本では改正資金決済法が施行され、世界に先駆けて、銀行や信託銀行などがステーブルコインを発行するための法整備が整った。そして、国内の大手金融機関が、次々と円建てステーブルコインの発行計画を発表している。
実際に2025年8月、JPYC株式会社が金融庁から資金移動業者として正式に登録を受け、今秋にも国内初の円建てステーブルコイン「JPYC」の発行を開始することが決定した。これは理論から実践への大きな転換点である。
さらに、三菱UFJ信託銀行の「Progmat Coin」やみずほ銀行との連携による企業間決済プラットフォームなど、メガバンクによる本格的なステーブルコインが2025年10月に実用化された。表向きは「決済の効率化」や「Web3.0時代への対応」といった言葉が並ぶが、その本質はアメリカのジーニアス法と何ら変わらない。
日本の政府債務は過去最高を更新し続けており、2025年度末時点で1335兆円に達している。GDP比で約2倍という、先進国で群を抜いて悪い財政状況が続いている。
巨額の政府債務を抱え、もはや伝統的な金融政策では立ち行かなくなった国家が、「民間」の名を借りて、新たな通貨発行(=円の増刷)を行うための、裏口を用意したに過ぎないのだ。2025年はまさに「ステーブルコイン元年」として歴史に刻まれるだろう。理論段階から実践段階へ、そして国家レベルでの本格運用へ、この流れはもはや止められない。
この状況で、あなたの資産のすべてを、法定通貨や法定通貨と何らかの連動をする資産だけで持っているとしたら……? それは、ゆっくりと沈みゆく船の上で、「まだ大丈夫だ」と自分に言い聞かせているのと同じことだ。貧しくなっていく日本と心中することになりかねないのである。
ゴールドとビットコインが、“億り人”の資産を守る
このドル下落という巨大な波の中で、あなたの資産を守り、むしろ増やすための「方舟」とは何か? 例えばそれは、以下の2つの代替資産である。
方舟(1):ゴールド(金)
方舟(2):ビットコイン
なぜ、この2つなのか? それは、これらが国や中央銀行の都合で、好き勝手に量を増やせない「発行量が限られた資産」だからだ。その希少性こそが、長期的な価値の保存機能を担保する。
正直に告白すれば、私自身、現在の資産のほとんどは、まだ不動産と円で保有している。なぜなら、不動産投資は事業であり、急な案件に対応するための手元のキャッシュ(現金)が、事業の機動力を高めるからだ。
しかし、法定通貨の価値が下落し続けるという、この不可逆的な潮流を前に、私もまた、戦略の転換を迫られている。今後は、いつでも換金できる流動性の高い形で、ゴールドやビットコインといった代替資産を、ポートフォリオに組み入れることが、5速ギアのプレイヤーにとって必須の戦略となるだろう。
不動産投資でインカムゲインとキャピタルゲインを狙う「攻め」の戦略と、これらの代替資産で資産の絶対価値を保存する「守り」の戦略。その両輪があって初めて、あなたはどんな時代が来ても揺るがない、盤石な資産の城を築くことができるのだ。
小原 正徳
株式会社不動産科学研究所 代表取締役
投資家・事業家/不動産鑑定士/宅地建物取引士
