◆■条例の名前が、ちょっと意外な話
リードでも触れたとおり、2002年に千代田区が作った全国初の路上喫煙禁止条例は「安全で快適な千代田区の生活環境の整備に関する条例」という名前。20年以上前、子どもや車椅子の人の顔の高さに火が来てしまうことを、大人たちが先に心配していたんだなあと思うと、宮田先生のあの「膝ガクガクの一歩」も、その流れの上にあったように見えてきます。◆■世界には、もっと意外なタバコのルールがある
ところで世界に目を向けると、タバコのルールにはもう少し意外な話があります。たとえば「禁煙先進国」のイメージが強いシンガポール。実は路上でタバコを吸うこと自体は禁じられていません。罰金の対象になるのは、屋内の禁煙エリアで吸ったり、吸い殻をポイ捨てしたとき。アパートの窓から繰り返し吸い殻を投げ捨てた男性に、過去最高額の罰金約188万円が科された例もあるそうです。さらに驚きなのがブータン。仏教思想を背景に、2004年に世界で初めて国内でのタバコ販売を全面禁止した国です。ところが2020年、コロナ禍で密輸が増えてしまったため、政府はやむなく販売解禁へ方針転換。「世界一厳しい禁煙国」と呼ばれた国も、現実とぶつかりながらルールを動かしてきました。
並べてみると、煙のことだけでなく、火傷、ポイ捨て、闇市場――いろんな現実と折り合いをつけながら、ルールは少しずつ作られてきたんだなあと感じます。

