◆理事会を牛耳られ、管理費を使い込まれる

「住民の大半は理事会の会合にすら参加せず、『理事会に全て委任します』という紙をポストに投函するだけ。出席して裏で示し合わせた数人組がいれば採択を簡単に牛耳れる。それを利用しているのが、うちのマンションに巣食う老害グループです。最初は蛍光灯のLED化という小さな案件でした。当時の理事会長でグループのリーダー格だったA氏が大手3社の見積もりを取ったうえで、『知り合いの方が安くできる』と3社より少し低い額を後出しで提示してきたんです。コストダウンになるんだからとすんなり通り、工事も一応無事に終わりました」
問題はその後に行われた「管理会社の再検討」。費用が高かった大手管理会社を外し、A氏の身内企業が管理会社に収まってしまった。
「以来、設備交換から小規模修繕まで、『知り合いが見積もりより少し安くできる』という手法で全て身内へ受注させる流れになっていきました」
さらに、A氏反対派だった理事会メンバーに“悲劇”が降りかかった。
「丁寧に手入れしていた庭に、ハトの餌が撒かれるようになったんです。朝から鳩が押し寄せ、洗濯物は汚され……。結局こちらが折れ、老害グループの独壇場に。そして今は大きな問題にはなっていませんが、近く大規模修繕が控えているんです。今の流れのまま身内の小さな企業が受注し続けるかと思うと不安で、引っ越しも本格的に考え始めています」
そんな中、稀に管理費と修繕積立が合わせて5000円ほどという破格の物件が存在する。管理費と修繕積立が異常に安い物件は、管理会社が介入していない「自主管理物件」だが、実態はほぼ無管理だ。
住民の木下さん(60代男性・仮名)は「理事会もろくに開かれないので、みんな『自分がやらなくていいなら』と全権委任してしまっていたのは反省しています」としながら、次のように語る。
「そこにひょっこり現れたのが、善意の顔をした老害Bです。Bはマンションの掃除やゴミ片づけなど目に見えることをこれ見よがしにこなすので、住民から感謝されたりもしていた。しかし、Bの死後に管理を引き継ぐため不動産会社が口座残高を確認すると、数百円しかなかったそうです。遺族に請求しようにも相続放棄されて終わりました」
後継の管理会社が仕方なく管理費と修繕積立を緊急値上げすると、今度は年金暮らしの高齢住民が滞納し始め、「管理もしてないくせに払えるか」「なんで気づかなかったんだ」などと逆上したという。
こうした「住人のいる廃墟」は今後も増え続けるるのだろうか……。
【山本侑介氏】
マンション再生コンサルタント。一級建築士事務所、AK建築設計代表。関西を中心に、これまでに年間45棟以上、累計300棟以上の分譲マンションの大規模修繕と修繕コストの削減、再生を手掛ける
【大島 海氏】
不動産コンサルタント。地方銀行にて個人融資業務に従事した後、不動産業務を開始。宅地建物取引士、D-Relife代表。マンションの管理代行ほか、古民家民泊運営のコンサルなども行う
<取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/子原こう>

