
手取り15万円のコールセンターで働くユイさん(仮名・27歳)の唯一の心の支えは、男性アイドルグループの「推し活」でした。しかし、SNSでのファン同士のマウントや焦燥感から金銭感覚が麻痺し、軽い気持ちで手を出した「リボ払い」が命取りに。気づけば借金総額は100万円を突破し、毎月返済しても元本が減らない泥沼に陥ります。両親にも打ち明けられず「自己破産」の恐怖に震える彼女が、自力で人生を立て直すための解決策について、1級FPの桐山昌也氏が解説します。
徐々に狂った金銭感覚…手取り15万円27歳女性の唯一の心の支えは「推し活」
大分県出身のユイさん(仮名・27歳)は、高校卒業後、デザイン系の専門学校に通うため、大阪に出てきました。
しかし、就職した会社の業務が激務で心身をすり減らし、数年で退職。現在はコールセンターのパートタイムとして働き、手取り15万円で一人暮らしをしています。
そんなユイさんの趣味は、高校時代から応援している男性アイドルグループの「推し活」です。
地元にいたころは福岡でのコンサートに年1回行くのが精一杯でしたが、大阪という立地はイベントやコンサートにも参加しやすく、当初は自分のペースで推し活を楽しめていました。
しかし、狂いが生じたのはここ2~3年のこと。きっかけはSNS(XやInstagram)でした。
タイムラインには、「全通(全国ツアーの全公演に参加すること)」を誇る人や、ランダム封入のグッズを何十個も買ってコンプリートして飾っている写真などで溢れています。
「最初はすごいなと見ているだけでした。でも、私もこれくらいやらないと本当のファンじゃない、他のファンに負けたくない、これが私の存在意義と、いつの間にか焦燥感を覚えるようになりました」
ユイさんは仕事での不調も重なり、推し活が唯一の心の支えという状態で、金銭感覚が徐々に麻痺していきました。北海道から沖縄まで全国へ飛び回り、限定グッズが出れば数万円分を迷わず購入するようになっていったのです。
「毎月1万5000円なら…」禁断のリボ払いで借金100万円超、脳裏によぎる“自己破産”の4文字
手取り15万円でそんな生活が維持できるはずもなく、ユイさんが手を出したのがクレジットカードの「リボ払い」でした。
最初は「毎月1万5000円の支払いなら何とかなる」という軽い気持ちで手を出しましたが、それが命取りでした。限度額がいっぱいになると別のカードを作り、ついには消費者金融のキャッシングにまで手を伸ばしてしまったユイさん。
先日すべての利用明細を合算してみたユイさんは、借金総額が「100万円」を超えていることに気づきました。毎月3万円以上は返済に回していますが、高い金利と手数料により、元本は一向に減る気配がありません。
最近、ふとした瞬間に、ユイさんの頭によぎるのは、「自己破産」という4文字です。ギャンブルや浪費による借金では自己破産が認められない可能性がある一方で、反省を示し誠実に対応すれば「裁量免責」という制度で認められるケースがあることもわかりました。
「でも自己破産なんて、絶対に嫌なんです。結婚も難しくなるかもしれませんし、なにより自分の人生が完全に終わってしまう気がして……」
借金問題において、金利負担を減らして解決に近づける最も現実的な手段は、両親などの家族に事情を打ち明け、一時的に立て替えてもらい高金利の借金を一括返済することです。その後、家族に着実に返済していくのがセオリーですが、ユイさんはこれを強く拒否しました。
「高い学費を出して専門学校に通わせてくれた両親に対して、早々に仕事を辞め、アイドルの追っかけで借金を作ったなどと情けなくていえない」というのが理由でした。
親やきょうだいには絶対に知られず、自力でこの100万円を減らしたい。そんな都合のいい解決策などないことはわかっていながらも、ユイさんはすがるような思いで打開策を探し続けています。
