最悪の「狼狽売り」は防げたが…直後に犯した初心者ならではのミス
もし夏の時点で画面を見てしまって「もうダメだ」と売っていたら、この回復の波には絶対に乗れず、5000万円を超える損失が確定していました。そして2023年以降の株価成長による利益も自ら捨ててしまうという、最悪の結末になっていたはずです。「見なかったから、売らずに済んだ」んです。
まさに「一番成績がいいのは、投資したことを忘れていた人」ということ。噓みたいな話ですけど、本当なんですよね。
ただ、ここでも一つ初心者らしいミスをしてしまいます。株価が回復して安心した僕は、「また下がるかもしれない」という恐怖に負け、一部の銘柄を早めに利益確定(利確)してしまったんです。その後、株価はさらに上昇を続けたので、あのまま持ち続けていればもっともっと大きな利益が出ていたのに……。
「現実逃避」で最悪の狼狽売りを防いだのはよかったけど、回復した後の「チキン利確」には改善の余地があった。この悔しさを嚙みしめ、僕は今、長期投資の銘柄は「売らない」「利確しない」ことを徹底しています。
「含み損は途中経過」…ギャンブルと違い、投資は“延長戦”ができる
なんとか株式市場から退場せずに乗り切れた2022年ですが、当時は僕の頭に何度も、「もう損切りすべきじゃないか?」という思いがよぎりました。
投資の教科書を開けば、必ずといっていいほど「損切りは早めに」と書いてあります。でも、ここで売ってしまったら、その瞬間に「負け」が確定してしまうじゃないですか。売るべきか、耐えるべきか。ギリギリの精神状態の中で、自問自答を繰り返しました。
そうして含み損を抱えるストレスに耐え抜いた2022年を経て、僕の中で「投資」と「ギャンブル」の違いがはっきりと腑に落ちたんです。
競馬やパチンコなどのギャンブルは、その場で勝敗が決まります。馬がゴール板を駆け抜けた瞬間、玉が穴に入らなかった瞬間に負けが確定し、お金は二度と戻ってきません。「頼む、あと1周だけ走ってくれ!」なんて延長戦は絶対にできません。勝ったら勝ったで、高い税金が待っています。
でも、投資は違います。短期的に株価が下がっても、長期で持ち続けていれば価格が戻る可能性が十分にある。つまり「延長戦ができる」んです。おまけに税金は約20%で固定されていて、NISAやiDeCoを使えば非課税になります。こんなにプレイヤーに有利な条件、ギャンブルでは絶対にあり得ません。この「投資は延長戦ができる」という概念が、僕にはすごくしっくりきました。
芸人だって、渾身のネタで一度スベったからといって芸人人生が終わるわけではありません。僕なんか舞台で何百回もスベってきましたけど、それでも次の舞台には立てました。M-1グランプリの1回戦で落ちても、来年また挑戦できるし、M-1に出られなくなっても「THE SECOND」という別の大会があります。うどん屋だって、今日お客さんが少なくても、明日美味しいものを作って頑張れば取り返せます。人生は一発勝負じゃないんです。
2022年を経て、僕は投資における当たり前の真理に気づきました。「含み損は、ただの途中経過に過ぎない」
投資の世界では、「含み損」と「確定損」という言葉があります。含み損とは、株価が下がって画面上の評価額が減っている状態。でも、まだ売っていないから損失は確定していません。対して確定損とは、実際に売って損失を「本物」にしてしまった状態です。この違いが、めちゃくちゃ大事なんです。
投資番組を見ていると、時間軸をちゃんと言わないで「損切りしろ」と言う人がいます。それだと初心者は勘違いしてしまいます。損切りしたほうがいいときもあれば、しないほうがいいときもある。その判断は時間軸によって決まるんです。デイトレードのような短期投資なら損切りは生命線。でも、15年、20年という長いスパンで考えるなら、話はまったく変わってくる。
僕がテスラとエヌビディアで5000万円の含み損を抱えていたとき、確かに恐ろしかったですが、あくまでただの「途中経過」でした。売らない限り、負けは確定しない。ネバーギブアップの精神です。これが、株式投資の最大の強みであり魅力だと思っています。
オモロー山下
お笑い芸人
実業家/個人投資家
