皇室典範改正案は2026年7月10日に衆議院で可決、成立した。衆院議員運営委員会で審議入り直後に、約3時間のスピード審議で採決したが、中道改革連合や国民民主と参政党も賛成に回り、可決成立した。高市早苗首相は10日までに、野党が求めた党首討論や予算委員会の集中審議出席に応じる意向を野党側に伝え、その代わりに、今国会最大の懸案だった皇室典範改正の成立に道筋をつけた格好で、与野党「駆け引きの材料」になっている。

「3時間の審議」で衆議院を通過。中道、国民、参政は賛成
10日午前の衆院議運委員会では、最大の論点のひとつが「政府案が『立法府の総意』を逸脱している」部分だった。中道改革連合の中野衆院議員が、「付帯決議について、皇位継承権についての将来の立法府の検討を縛ったりするものではないなどとする解釈は、政府も同じ考えか」と質問。木原官房長官は、「将来の皇位継承の在り方について、立法府における将来の検討を先取りしたり、縛ったりするような趣旨のものではない」と答えた。
中道は、養子の子どもの皇位継承権の扱いを「将来に先送ることを明確にすべき」として、賛成の条件として付帯決議案の修正を求めていたが、与党は拒否。それでも、こうした政府答弁で「一定の担保がとれた」として、「苦渋の決断」としながらも賛成に回った。
結局、採決では、中道、国民民主、参政各党が賛成に回り、委員会とともに、午後の本会議でも、皇室典範改正案は賛成多数で可決、成立した。週明けに参院審議が始まるが、多くの野党が賛成に回ったため、成立する見通しだ。
「国民の声を聴け、皇室の声も」疑問の声も聞こえる
国会が「スピード審議」で突き進む一方で、旧宮家をはじめ、国民各層からは「じっくり議論を」との声が広がっている。改正案で「養子」の対象となった旧11宮家のひとつ、久邇宮家の三男・久邇朝宏さん(81)は、朝日新聞のインタビュー(6月30日)に対し「なんでいまさらって感じ」と戸惑いを隠せない。
村井嘉浩・宮城県知事は8日の記者会見で、「国会だけで決めるのではなく広く国民の声を吸い上げ、皇室の皆さんの声も聞くべきだと思う」と注文。「旧宮家の人が突然入ってきて、どういう思いを持たれるのか、間接的にでもお話を聞いたうえで皇室がこれからも存続するように考えていただきたい」と述べた。
また、国立歴史民俗博物館名誉教授の横山百合子さんら有志の女性史研究家も8日、野党に申し入れた。「日本の歴史を踏まえていない」「性差別的だ」「日本の権力者のジェンダーの在り方、特に古代における女性天皇輩出の背景に関する実証が抜け落ちている」と批判した。