【FPがシミュレーション】資産2,000万円で「使っていいお金」を割り出す
先述した4項目を使って、実際にどのように「使っていいお金」を割り出すのか、具体的なシミュレーションを見てみましょう。
【シミュレーションの前提条件】
今の資産:2,000万円
毎月の生活費:25万円
受け取れる年金:月20万円
手元に残したい現金(医療費など):500万円
この場合、毎月の生活費(25万円)に対して年金(20万円)なので、毎月「5万円の赤字(年間60万円のマイナス)」が発生します。これだけを見ると不安に感じるかもしれませんが、ここで「資産運用を取り入れながら取り崩す」という手法を使います。
資産2,000万円のうち、半分の1,000万円は手元に現金として残し、もう半分の「1,000万円」を投資に回します。この1,000万円を「年利5%」で運用しながら、30年間にわたって毎月取り崩していくと仮定します。
運用しながら取り崩すことで、金融電卓の計算上、毎月「約5万3,000円」を受け取ることができます。(1,000万円から5万3,000円を受け取り、残った金額が運用され、また受け取る…を繰り返し、30年後にゼロになる計算です)。
受け取れる年金:月20万円
投資からの受け取り:月5万3,000円
毎月の収入合計:25万3,000円
なんと、毎月の収入(25万3,000円)が毎月の生活費(25万円)を上回りました。これにより、毎月の収支のプラスマイナスがほぼゼロになり、手元に残しておいた現金1,000万円は、老後もほぼずっと減らない状態を作れることが証明されたのです。
手元に絶対残しておきたいお金(医療費など)が「500万円」だとすれば、減らない現金1,000万円のうち、「残りの500万円は、今すぐ旅行などのために自由に使ってしまってもまったく問題ないお金」という明確な結論が出ます。
「いくら使っていいか」の把握で人生は変わる
このように数字でシミュレーションをすれば、「いくらまでなら使っていいのか」という根拠が手に入り、「お金がなくなるのが怖いから何もしない」という状態から脱却できます。
自分が使ってもいいお金が明確になったら、やりたいこと、行きたい場所などに具体的に予算を割り当て、計画を立てて実行に移していきましょう。「この金額までは使っても生活は破綻しない」という見通しがあれば、安心して新しい経験に投資できるはずです。
もし自分一人で実行に移すのが難しければ、毎年の予算化を習慣にしたり、定期的に旅行などが企画されるコミュニティに参加したりして、「自動的に新しい機会に触れる仕組み」を活用するのも有効な手段です。
お金を増やすこと自体をゴールにしない
お金は充実した人生を送るための「手段」であり、ただ増やすこと自体をゴールにして今の生活を犠牲にしては本末転倒です。
なんとなくの不安からお金を貯め込むのではなく、現在の資産と将来の収支を正確にシミュレーションして「使っていいお金」を明確にし、計画的に予算を割り振ることで、不安のない豊かな人生をデザインしていきましょう。
鳥海 翔
株式会社Challenger代表取締役
FP(ファイナンシャル・プランナー)/投資家
