「孫のためになにかしてやりたくて」毎年110万円を贈与し続けた祖父…没後、残された家族が〈税務調査〉で泣き崩れたワケ【税理士の助言】

「孫のためになにかしてやりたくて」毎年110万円を贈与し続けた祖父…没後、残された家族が〈税務調査〉で泣き崩れたワケ【税理士の助言】

税務上は別物…毎年の贈与には「2種類」ある

相続税対策として、毎年少しずつ贈与をするという方法をとっている人は少なくないでしょう。実は、この「毎年の贈与」には大きくわけて2種類あります。

連年贈与……結果として毎年贈与している状態

定期贈与……毎年贈与することやその金額が、あらかじめ決まっている状態

一見すると同じように見えますが、意味合いが大きく異なります。連年贈与は「その年ごとに贈与するかどうかを決めている」状態で、あくまで毎年の行為が積み重なったものです。一方、定期贈与は「毎年〇万円を贈与する」といった約束が最初から決まっているケースを指します。この違いが、税務上の扱いに大きく影響します。

今回、税務署はDさんの贈与を「定期贈与」と判断したため、初年度にまとめて贈与したものとみなされ、一括で高額な贈与税が課されることとなりました。

さらに、定期贈与の課税対象は「これから受け取るはずのお金」に対してもおよぶため、孫たちはまだ受け取っていない金額について先に納税しなければならないという、非常に厳しい状況に置かれてしまいました。

贈与の取り扱いは、当初どのような約束があったかによって大きく変わってくるため、贈与を行う際には必ず「贈与契約書」を作成し、毎年その都度取り交わすことが重要です。

また、形式だけ整えても不十分で、実態が伴っていなければなりません。贈与は本来、贈る側と受け取る側が双方合意して成立するものです。したがって、祖父が贈与したことについて孫本人がその事実を知らない場合、それは贈与として認められません。

さらに、受け取る本人が管理していない口座に贈与者が勝手に入金している場合も、贈与とは認められず、相続発生時に「名義預金」と判断される可能性があります。

贈与を確実に成立させるためには、必ず受け取る本人が管理している口座へ入金することが重要です。このままではAさんも、自分の孫たちをDさんの孫たちと同じ状態にしかねません。

まずその「10年間の約束」のメモを撤回し、あくまで毎年その都度あげるかどうかを決める「連年贈与」の形に改めましょう。そのためには、面倒でも毎年贈与を行うたびに、日付と金額を記した「贈与契約書」を新しく作成しなければなりません。

また、孫が幼いからといって通帳や印鑑をAさん自身が管理していると、実質的なAさんの財産(名義預金)と判定されてしまいます。通帳と印鑑は長男・長女に引き渡し、実際の管理を委ね、そのうえで手渡しではなく必ず銀行振込を利用し、客観的な資金移動の証拠を口座に残すべきです。

孫を想っての生前贈与が、結果的に最愛の家族を苦しめる結果になっては元も子もありません。少しでも不安がある場合は、自己判断のメモ書きだけで進めず、一度相続に強い税理士などの専門家へ相談し、「正しい贈与のやり方」を整えておくことをお勧めします。

木戸 真智子

税理士事務所エールパートナー

税理士/行政書士/ファイナンシャルプランナー

提供元

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