
もし存命中に老後資金が底を突いたら? このような不安を抱いた人は、極力お金を使わないように生活します。しかしその結果、人生終盤はあまりにも寂しいものに…。穏やかに人生を送るには、いったいどうしたらいいのでしょうか。本稿は、小林篤典氏の著書『父が溶かした退職金 【下】』(ゴールドオンライン新書)から一部を抜粋・再編集したものです。
不安が生む悲劇
1番お金持ちになるのは人生のどのタイミングだと思いますか。50代? 退職時? 答えは「退職時」でもあり「亡くなる直前」でもあります。信じられないかもしれませんが、「人生の晩年が最もお金持ち」これが日本人の現実です。
老後生活に不安を抱く人は少なくありません。物価が上昇している、税金や社会保険料負担が重い、年金はもらえるのだろうかなど、不安材料は事欠きません。そのような不安が積み重なった結果、「老後生活でお金がなくならないだろうか」と考えてしまうのは仕方がありません。
お金が尽きるのは怖いことです。想像したくもないでしょう。そして、そのような不安を抱いた人は「できる限り使わないようにする」という行動を取ります。
内閣府の経済財政白書に、注目すべきデータがあります[図表1]。
[図表1]年齢階級別の世帯当たり金融資産額(2019年) 出典:『父が溶かした退職金 【下】「お金の真実」を学び、心穏やかに生きる知恵』(ゴールドオンライン新書)より抜粋
老後生活で資産が大きく減少していないのです。「老後はお金が大きく減っていく」と思っていませんでしたか。現実は、多くの人は老後生活において、できる限りお金を使わないように努力しているのです。これは平均値だけでなく、中央値でも同じ傾向です。つまり、一部のお金持ちだけの話ではありません。なぜ、こんなことになるのでしょうか。
老後生活を「心配している」人は約80%
金融経済教育推進機構の調査によれば、老後生活を「心配している」人は約80%です。お金を使わない理由は「不安」なのです。そして、その不安の理由が[図表2]です。
[図表2]老後の生活が心配な理由(複数回答) 出典:『父が溶かした退職金 【下】「お金の真実」を学び、心穏やかに生きる知恵』(ゴールドオンライン新書)より抜粋
「十分な金融資産がないから」「十分な年金や保険がないから」「十分な貯蓄をしていないから」「十分な退職一時金が受け取れないから」「十分な収入を得られる見込みがないから」という回答が並びます。
このアンケートには、決定的な質問が欠けています。「あなたにとって『十分』とは、いくらですか?」――この質問があれば、答えは明らかになったでしょう。おそらく、ほとんどの人が答えられないと思います。なぜなら、「十分な額」を知らないからです。
「十分な額はわからない」
「なんとなく不安」
「いくらあっても不安は残るから『十分』とは答えられない」
これが本音ではないでしょうか。
