S&P500やオルカン“1本だけ”で本当にいいのか…「インデックス投資に絞る人」と「投資先を広げる人」の判断の分かれ目【FPが解説】

S&P500やオルカン“1本だけ”で本当にいいのか…「インデックス投資に絞る人」と「投資先を広げる人」の判断の分かれ目【FPが解説】

全世界株式(オルカン)やS&P500などのインデックス投資1本で運用を続けるか、他の投資先を組み合わせてポートフォリオを広げるか、迷いを抱える投資家は少なくありません。しかし、不安に駆られて感情的に動く前に、長期的な元本割れ確率やインフレリスクを客観的なデータで把握し、自身の投資スタンスを明確にすることが重要です。インデックス投資を「1本に絞る人」と「複数を組み合わせるのが向いている人」のスタンスの差とは。YouTubeチャンネル登録者数40万人超の人気FP・鳥海翔氏が解説します。

10年後の元本割れ確率は3.5%…「下落」を心配する人の“根拠なき”恐怖

株式投資において、投資して株価が下落後、10年経っても戻らないリスクを心配し、投資を控えるべきか悩む人もいるでしょう。しかし、投資判断は感情論ではなく、確率とデータに基づいて行うことが重要です。

たとえば、1871年1月から2026年5月までの米国株(S&P500)のローリングリターン(任意の時点から10年間保有した場合の収益率)がマイナスになる確率は、わずか3.5%です。つまり、96.5%の確率で資産は増加しています。

さらに、マイナスとなったケースのすべての平均値をみても、100万円投資した場合85万円と、15万円の減少幅にとどまっています。一方、プラスとなったケースでの中央値は231万円に達します。

つまり、投資した100万円は「3.5%の確率で85万円になるが、96.5%の確率で231万円近くになる可能性が高い」ということです。

また、単年での一括投資ではなく、2年連続で投資を行えばマイナスになる確率は2.7%、3年連続であれば2%と、積立期間を分散するほど元本割れリスクは低減していきます。

金利上昇局面では、利息が物価に負ける

近年、政策金利や長期金利が上昇傾向にあることから、利息が見込める銀行預金や国債への投資を優先すべきという意見もあります。たしかに名目上の利息は増えますが、金利が上昇する背景には「物価の上昇」があることを見落としてはいけません。

2026年5月の消費者物価指数は全体平均でプラス1.5%でしたが、過去数年間を遡ると、穀類や魚介類、野菜などの食料品は30%~40%の大幅な価格上昇を記録しています。

預金や国債で数%の利息を得たとしても、現実の物価がそれ以上に上昇していれば、手元の現金の購買力は激しく目減りしていることになります。

分散投資のつもりが“特定業種への集中”に…「コア・サテライトの区別」がカギ

物価上昇による現金の目減りを防ぎ、より高いリターンを狙う手段として、安定したインデックス投資(コア)と、高いリターンを狙う投資(サテライト)を組み合わせる「コア・サテライト戦略」を検討する人もいるでしょう。

では、この戦略において、米国のテクノロジー企業を中心とした「NASDAQ100指数」をコアに据えることは妥当なのでしょうか。

この点、投資先を評価する際には、構成銘柄数だけでなく「業種の分散度合い」に注目することが重要です。S&P500は上位10社の巨大IT企業などで全体の約3割を占めていますが、NASDAQ100は上位10社で約50%を占めています。

また、サテライト投資として人気の「FANG+(ファングプラス)」は、特定の少数10社のみで構成されていますが、NASDAQ100にはすでにFANG+の主要銘柄がほぼすべて含まれています。

仮にNASDAQ100に100%投資する場合、イメージとして「S&P500を65%、FANG+を35%」の割合で保有し、すでにコアとサテライトを組み合わせたようなポートフォリオを持つことと同義です。

したがって、NASDAQ100をコアとする場合、サテライト部分の比率を低く抑えなければ、「どの部分がコアでどの部分がサテライトなのか」があいまいになり、意図せず特定業種への過度な集中投資となってしまうリスクがある点に注意が必要です。

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