
誰しも老後は不安ですが、その理由は様々なことが「わからない」状態にあるのが理由です。ここでは自分の資産がどのくらいまで持つかをを知り、過剰な心配を手放し、今後やるべきことを明確にする筋道を探ります。本稿は、小林篤典氏の著書『父が溶かした退職金 【下】』(ゴールドオンライン新書)から一部を抜粋・再編集したものです。
「資産の寿命」を知るための3つのステップ
自分の老後について「わからないから不安」という状態から抜け出すには、「身体の寿命」よりも「資産の寿命」が長生きであることを確認することが重要です。
「身体の寿命」と「資産の寿命」の2つの寿命がわかれば、未来が見えてくるからです。
「身体の寿命」は、男性85歳、女性90歳が1つの目安になることを述べました。さらにプラス5歳程度を考えると安心できることもわかりました(記事『老後のお金「不安を感じる人」「不安を感じない人」は何が違うのか… FPが教える「資産の見通し」の考え方』参照)。
そして、2つ目の「資産の寿命」です。ここでは、「資産の寿命」を知るための3つのステップを考えていきましょう。
★STEP1:自分の収入と支出を知る
まずは、未来の収入を把握することから始めます。
●退職金はいくらもらえるの?
●企業年金制度はあるの? いくらもらえるの?
●公的年金はいくらもらえるの?
「会社の窓口に聞きにくい……」そう思う人もいるでしょう。そのときは、こう言ってください。「FPにライフプラン相談をしていて、確認するように言われたので」これで角が立ちません。公的年金は、ねんきん定期便のQRコードから公的年金シミュレータを立ち上げて試算してみましょう。
そして、次は支出の把握です。家計簿やカード明細や預金通帳などを参考に、現状の支出を把握した上で、未来の支出を予測します。車や住宅の購入などの将来の大きな支出を予測することも大切です。
★STEP2:年末の残高の推移を知る
毎年の収入と支出がわかれば、その年の収支が赤字だったのか黒字だったのかがわかります。そして、毎年の収支を積み重ねれば、年末の残高の推移を知ることができます。
★STEP3:資産の寿命を知る
年末の残高の推移を見て、 残高がマイナスになる年齢を確認します。その年齢が「資産の寿命」です。
「資産の寿命」が「身体の寿命」よりも長生きになっていればひと安心です。仮に「資産の寿命」のほうが短命だったとしても、早い段階でわかれば寿命を延ばすことは可能です。STEP1の支出を見直すこともできるでしょうし、働き方を考え直して収入を増やす努力も可能かもしれません。「資産の寿命」がわかれば、やるべきことが見えくるのです。
ある程度の精度なら、プロに頼まなくても算出できる
この3ステップは、プロに頼まなくてもある程度の精度であればできると思います。表計算ソフトがあれば十分です。最初は大雑把でも構いません。毎年の実績を確認して修正していけば、徐々に正確になっていきます。この過程で無駄な支出も見えてくるので、節約にもつながります。
「自分でやるのは大変……」と思う人は、プロへの相談も選択肢です。相談相手を適切に見極めて相談してください。信頼できる相談先については、本書にて後述します。重要なのは、誰かに任せきりにするのではなく、自分でも基本を理解しておくことです。
この3つのステップを踏むことで、「わからない不安」は、「わかることによって得られる安心」や「対策につなげられる具体的な課題」に変わります。一気に視界が開けた感覚になると思います。
