◆お金のルールを決め、家族とも共有している

それは、お金の話を「タブー」にしていなかったことです。
「もし自分に何かあったら、この口座を見れば分かる」
「遺言書は作ってある」
「相続でもめないように、子どもたちには考えを伝えてある」
こうした会話が、ごく自然に交わされていました。
一方で、お金の話を避け続けたご家庭ほど、相続の場面で大きなトラブルになることを何度も見てきました。
「父はどう考えていたのか分からない」
「本当に平等に分けたかったのか」
「生前にもらったお金はどうなるのか」
親が亡くなった後では、誰も本当の答えを知ることはできません。
だからこそ、それぞれが自分に都合のいい解釈をしてしまい、家族の関係が少しずつ壊れていくのです。
また、資産家は借金に対する考え方も冷静でした。
「借金は悪いもの」と決めつけるのではなく、事業を成長させるため、資産を増やすためなど、目的がある時だけ活用する。
反対に、見栄のためのローンや、なんとなくの借り入れは徹底して避けていました。
本当に資産を守る人は、お金を増やす方法だけでなく、お金との向き合い方にもルールを持っています。
そして、そのルールを家族と共有しているからこそ、何十年経っても資産と家族の両方を守り続けることができるのです。
◆銀行で見た「本当に豊かな人」に共通する考え方
19年間、多くの資産家と接してきて感じたのは、「本当に豊かな人」ほど、お金を派手に使わないということでした。見栄で買い物をせず、流行に流されず、自分なりの判断基準を持っている。そして、お金以上に信用や人とのつながりを大切にしていました。
資産形成に特別な才能は必要ありません。
大切なのは、一度の大きな成功を狙うことではなく、正しい考え方を長く続けることです。
お金の使い方は、その人の生き方を映します。
本当に豊かな人から学ぶべきなのは、資産の額ではなく、お金との向き合い方なのかもしれません。
<文/渡辺智>
【渡辺智】
某メガバンクに11年勤務。リテール営業やプライベートバンカー業務を経験。その後、外資系保険会社で営業。現在は金融ライターとして独立。FP1級保有。難しい「お金の話」をわかりやすく説明することをモットーにしています。公式SNS(X)は、@watanabesatosi7

