「思い上がってる」ウエストランド井口、サッカージャーナリストへの“反論”に批判殺到…炎上騒動の裏にあった“すれ違い”

「思い上がってる」ウエストランド井口、サッカージャーナリストへの“反論”に批判殺到…炎上騒動の裏にあった“すれ違い”

◆両者は「違う話」をしている



 まず、小澤氏と井口氏との間では、そもそも議論の土壌を共有していないという問題があります。小澤氏も長年にわたって業界に携わってきた人物なのだから、「にわかファン」を全否定するほどにアマチュアではないという前提ぐらいは理解できるでしょう。

 つまり、小澤氏は「にわかファン」的な、あえていうならば芸能界的な盛り上がりだけでサッカー日本代表を消費し尽くしてよいのだろうか、という問題意識を持っているのです。感動に偏向した報道のあり方が著しくバランスを欠いているということを言いたかったのだと思います。

 そして、当の森保監督やサッカー協会までもが、この感動のストーリーによって、本来なされるべき技術的な総括をうやむやにしているように見える状況に危機感を抱いているのです。

 当然、小学4年生から大学終わりまでサッカー部だった井口氏も、小澤氏の問題意識は十分に理解しているはずです。しかし、そのうえで、なお井口氏にはまだまだサッカーファンの裾野が広がっていないという危機感があるのではないでしょうか。

 彼が青春時代を過ごした90年代後半から2000年代前半よりも、日本代表への国民的な関心や情熱は薄れているのではないか。事実、スポーツ雑誌などで日本代表を取り上げる機会は年々少なくなっています。三浦知良や中田英寿、本田圭佑など、各時代に必ず存在したスター選手も、いまや名前を挙げるのに苦労するほどです。

 つまり、井口氏の「楽しんでいる人を冷ます必要はない」という発言は、芸能人としてメディア全体を俯瞰したサッカーファンとしての率直な感想から発せられたということなのです。決して、ただのジャーナリスト批判ではなく、幼少時からサッカーを愛し続けてきた人間が抱く、昨今のサッカー人気の停滞への危機感が暴走してしまった格好です。

◆本当に必要なのは対立ではない

 そう考えると、本来は小澤氏と井口氏のような人達が手を組んでサッカー人気を盛り上げるべきだと言えます。日本代表は強いだけでも、「にわかファン」がキャーキャー言うだけでも不十分だからです。

 雨降って地固まる。せっかくだから小澤一郎と井口浩之でサッカーチャンネルを開設したらどうでしょう?

文/石黒隆之

【石黒隆之】
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。X: @TakayukiIshigu4
配信元: 日刊SPA!

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