専門家の視点|「孫差別」で家族を壊さないために
日本政策金融公庫によると、子ども1人あたり大学卒業までに必要となる教育費は、進学先や通学形態によって大きく異なり、幼稚園から大学まで私立を選択するなど条件によっては2,000万円を超えるケースもあります(※)。
こうした背景から、祖父母が教育資金を支援する家庭も少なくありません。ただし、その援助が「成績が良い子だけ」「期待できる子だけ」といった条件付きになると、子どもは「自分の価値まで比べられている」と受け止めてしまうおそれがあります。
子どもの可能性は、幼い頃には誰にも分かりません。勉強が得意な子もいれば、ものづくりや芸術、スポーツ、人とのコミュニケーションなど、それぞれ異なる分野で力を発揮する子もいます。将来の活躍は、偏差値や成績だけで決まるものではありません。
そのため、教育資金を「将来のリターン」を期待する投資として考えるのではなく、「あなたを応援している」という気持ちを伝えるための支援として考えることが大切です。
援助額に違いが生じる事情がある場合もあるでしょう。必ずしも全員に同じ金額を渡さなければならないわけではありません。しかし、その際は理由をできるだけ丁寧に説明し、それぞれの孫を一人の人間として尊重する姿勢が欠かせません。
家族のお金は、単なる経済的な支援ではなく、信頼関係を育むためのものでもあります。孫同士を比べるのではなく、一人ひとりの個性や努力を認め、応援しているという気持ちを伝えることこそが、長く良好な家族関係を築く何より大切な財産になるのではないでしょうか。
※日本政策金融公庫「教育資金はいくら必要?かかる目安をご紹介」
https://www.jfc.go.jp/n/finance/ippan/kyoikuhi/cost.html
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP®
