◆タイガースが「簡単には放出できない理由」
一方で、タイガースが簡単にエースを売れる立場ではないことが、交渉を難しくしている。タイガースは借金を5つ抱える厳しい状況にありながら、プレーオフ進出の可能性を残している。スクーバルを放出しても直ちに今季終了を意味するわけではないが、絶対的エースを失えば、逆転進出の難易度が大きく上がるのは避けられない。
何より、スクーバルは単なる主力ではない。タイガースが今季の希望を現実につなぎ留めるうえで、最も重要な存在である。
本人もタイガースで戦い続けたい意向を示している。AP通信の取材で「このチームにはワールドシリーズを勝つチャンスがあると思う」と語り、デトロイトで今季を終えたいとの希望を明かした。
◆「売れば白旗」「残せば勝負」という単純な二択ではない
ただ、スクーバルは今季終了後にFAとなる。もしスクーバルを残してプレーオフを逃せば、高い交換価値をトレードに生かせないまま、エースを失う恐れがある。これは「売れば白旗」「残せば勝負」という単純な二択ではない。即戦力を含む十分な見返りを得られれば、タイガースには今季の競争力を完全には捨てず、来季以降の戦力も厚くする道が残る。
その難題に応えられる球団の一つがドジャースだ。潤沢な資金力に加え、長年の育成と編成によって、有望株やメジャーで起用できる若手を蓄えてきた。
しかし、「出せる」と「出すべき」は別の話である。若手は大型トレードの交換材料であると同時に、故障者が出た際の穴を埋め、高額契約の選手が並ぶチームを長期的に維持するための土台でもある。
スクーバルを獲得するには、その一部を切り崩す覚悟が必要になる。数か月の補強のために、すぐに投げられる若手や将来の主力候補を手放せば、その影響は今季だけでは終わらない。

