上はエリート、下はIT世代、「特別な能力がない」と自嘲する40代在日中国人が辿り着いた〈コンビニ経営〉…急増する中国人店主と、日本人が去った“過酷現場”の穴埋め

上はエリート、下はIT世代、「特別な能力がない」と自嘲する40代在日中国人が辿り着いた〈コンビニ経営〉…急増する中国人店主と、日本人が去った“過酷現場”の穴埋め

街のコンビニで外国人店員を見かける風景は完全に日常となった。しかし今、現場で起きている真の構造変化は「店員」ではなく「オーナー(経営者)」の顔ぶれにある。かつてコンビニを支えた日本人オーナーは、激減の一途をたどっている。その空白を埋めるように頭角を現したのが、在日中国人たちだ。本記事では、中島恵氏の著書『中国人は日本で何をしているのか』(日経BP)より、日本でコンビニのオーナーとして働く中国人・趙さん(仮名)へのインタビューを通じて、現代日本のコンビニ事情を紐解く。

コンビニ店の中国人オーナーが増えている

知り合いの複数の中国人から、日本で「コンビニ経営」に携わっている人が多いと聞いた。「立地など条件がよければ安定収益が見込める、オーナー(社長)になれる、来日時にアルバイトをして親しみや興味がある、この3つが大きい理由ではないか」という。

コンビニ店では多くの外国人が働いている。あくまでも私の周囲の話だが、最近ではベトナム人、ネパール人、インド人などの店員が多くなっていて、中国人店員を見かける機会は減っている。しかし、その一方で、中国人がコンビニのオーナーになっているというのだ。友人から紹介してもらい、私は東京都内のある店舗を訪ねた。

エリートでもITでもない世代が掴んだコンビニオーナー業

JRから私鉄に乗り換えて数駅。駅から程近い場所にある大手コンビニチェーンの店舗に到着し、店員に声を掛けると、レジ奥の事務室からオーナーの趙建偉さん(仮名)が顔を出し、笑顔で迎えてくれた。

趙さんは地元の学校を卒業後、働いていたが、「広い世界を見てみたい」という思いに駆られ、出国を考えた。地元は留学や出稼ぎで海外に出ていく人が多かったため、特別な感覚はなかった。「豊かでいい国」というイメージを漠然と抱いていたため、留学先として日本を選んだ。

日本の大学では国際経営や物流などを学び、貿易会社に就職した。11年に東日本大震災が起きると家族で帰国。仕事も辞めたが、落ち着いた頃に日本に戻り、アルバイトをしたり、派遣社員として働いたりしていた。

そんなとき在日中国人向けの新聞に、あるコンビニチェーンのオーナー募集の広告が出ていたのを親戚が見つけ、「応募してみたら」と声を掛けてくれた。

「留学生のときにアルバイトした経験があったので、自分にもできるのではないか、と直感的に思いました。80年代、90年代に来日した人々の一部はエリートで、一流大学を出て大手企業に就職するなど、いい仕事に就いている人がけっこういます。30代以下の世代はITに強く、SNSを駆使した仕事ができます。でも40〜50代の私くらいの年代はその中間。どちらでもありません。

在日中国人は来日した時期の日本の景気や運にかなり影響されます。私のように特別な能力がなくても日本でできる仕事は何だろうと考えた結果、コンビニに挑戦してみようという考えに至ったのです」(趙さん)

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