1ドル164円目前...iPhoneも日本で値上げに 高市首相「もっと積極財政」で円安ストップさせる気ゼロ?

2026年7月23日のニューヨーク外国為替市場で、円相場は一時1ドル=163円90銭台まで値を下げた。28日も1ドル=163円70銭台の取引が続いた。

衆院予算委員会で高市首相(右)に話しかける片山財務相(写真:つのだよしお/アフロ)

さらに24日、トランプ米政権は通商法301条にもとづく新たな追加関税を発動。日本からの輸入品にかかる税率は、既存の関税とあわせて12.5%にそろえられる。

輸入コストを押し上げる材料が、これでもかと重なる状況になってきた。

円安に対する「断固たる措置」は対症療法か

こうした市場の動きに対し、日本政府はどう動いているのか。

片山さつき財務相は24日の閣議後会見で、

「必要に応じていつでも適切に対応する。断固たる措置を果断にやる」

と述べ、円買い介入の可能性に改めて言及した。

この「断固たる措置」という言い回しは6月以降、繰り返し語られてきたが、その中身はどこまでも対症療法に近い。

政府・日銀は4月30日夜に円買い・ドル売り介入へ踏み切り、その後も断続的に実施した。財務省が公表した4月28日?5月27日の実績は約11兆7300億円にのぼり、記録としては過去最大となった。

さらに日銀も、6月の金融政策決定会合で政策金利を1.00%へ引き上げた。1995年以来、31年ぶりの高い水準である。

打てる手は打ったものの、円は買われず、160円台がすっかり定着してしまった。

こうした円の苦境を、最もわかりやすく示したのがiPhoneの値上げかもしれない。

アップルは7月18日、日本国内の公式ストア価格を改定した。iPhone 17は12万9800円から14万2800円へ。値上げ幅は機種によって8000円から2万5000円に及び、Apple WatchやAirPodsも対象となった。

一方、アメリカでの価格は据え置かれている。同じ製品が、日本でだけ高くなったのだ。

もっとも、円安だけが原因ではない。AI需要によるメモリ・ストレージ価格の高騰という世界共通の要因もあり、実際、6月下旬にはMacやiPadが世界的に値上げされている。

それでも、アメリカが据え置きのまま日本だけが上がった以上、値上げの理由が円相場に求められても仕方のないところがある。

高市内閣は「骨太の方針」で財政拡張への布石を打った

一方で、24日に発表された6月の全国消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合で前年同月比1.6%の上昇にとどまった。5か月連続で2%を下回っている。実質賃金も5月まで5か月連続でプラスとなり、統計の上では物価高がいったん落ち着いたように見える。

6月分を押し下げたのは、ガソリン暫定税率の廃止と燃料油への補助金である。さらに7月からは電気・ガス代の補助が始まり、これが以降の指標をいっそう抑えることになる。

だが、これらはいずれも期限付きの措置であり、やはり対症療法に見える。

高市政権は、構造そのものに手を入れないのだろうか。

7月21日に閣議決定された「骨太の方針2026(経済財政運営と改革の基本方針2026『責任ある積極財政』元年)」は、その答えの一端を示している。

この文書で政府は、四半世紀にわたって掲げてきた基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標を財政運営の中核から外し、代わりに「債務残高対GDP比の安定的な低下」を据えた。

名目GDPが膨らめばこの比率は下がるため、物価が上がることは、財政目標にとって逆風どころか、むしろ追い風になる。

加えて円安は、輸出企業の収益を押し上げ、外国為替資金特別会計にも評価益をもたらす。

高市内閣が財政拡張へ向けた布石を打ったかたちだが、その一方で、円安のコストを一般市民の家計が負うという現実は、何も変わっていない。

配信元: J-CASTニュース

あなたにおすすめ