◆圧巻のクライマックス。平井大書き下ろしの”母へのラブソング”

笑いに包まれた物語は、やがて「母への愛憎」「記憶のズレ」「過去の罪」へと踏み込んでいく。そしてクライマックス、シンガーソングライターの平井大が脚本を読んで書き下ろした”母へのラブソング”を、田中が生で歌い上げる。歌声が響いた瞬間、それまで笑いに緩んでいた場内の空気が一変。涙を誘う。1時間45分の物語がこの1曲に流れ込んでいく構成は、まさに圧巻だった。
この題材には原点があると、鈴木は明かす。
「圭くんとの2作目の舞台をお母さんが見に来てくれて、その後に亡くなられたらしくて。『舞台をお母さんが見てくれたことがすごいよかったです』っていうLINEをわざわざくれたんですよ。それから、いつか母さんのお話を作ってみたいとずっと思ってまして。主役は2人なんですけど、僕の中では主役は母さんだと思ってます。見てくれた皆さんの頭の中に、いろんなお母さんが浮かんだらいいなと思ってます」
公演は東京のあと、仙台・名古屋・上田・大阪と、9月22日まで全国5都市を巡る。田中は最後にこう呼びかけた。
「公演後半では、勇気をいただきながら進化してる僕たちが見られるんじゃないかなと思います。最後までみんなで感動したいと思います」
文/桜井カズキ

