2026年7月28日、熊本県で最大震度7、マグニチュード7.1の地震が起きた。気象庁は「令和8年熊本地震」と命名。専門家でつくる政府の地震調査委員会は、揺れの原因になった断層が「日奈久断層帯」の一部だったとみている。

この断層帯は、10年前の熊本地震では北端の一部しか動かず、南側の区間が"割れ残り"として残っていた場所だ。その残りがついに動いた可能性がある、というわけだ。
日奈久断層帯は南西へ長く延びていて、その延長方向に九州電力の川内原発がある。
東日本大震災の記憶から、これだけ活発に地面が動くと「原発は大丈夫なのか」という不安も出てくる。
原子炉を自動停止させる目安を大きく下回る
「令和8年熊本地震」の震央から川内原発までは約100キロ離れていた。
九州電力によると、原発の敷地の揺れはごくわずかで、岩盤上の揺れは10年前の熊本地震(最大8.6ガル)の約2.7倍にあたる20ガル台。原子炉を自動停止させる目安を大きく下回った。
1・2号機はそのまま運転を続け、原子力規制委員会も、周辺の放射線量を測るモニタリングポストの値に変化はなく異常なしと確認している。
10年前の熊本地震や、1997年に原発のすぐ近くで起きた最大震度6弱の地震でも、原子炉は止まっていない。
川内原発は620ガルの揺れに耐える想定で造られており、市来断層帯など、より近い断層を想定して設計されている。
日奈久断層帯は、いちばん南の端でも原発から数十キロ離れていて、設計を左右する断層にはなっていない。
川内原発への脅威は、カルデラと避難計画
実は、川内原発で懸念されてきたのは地震よりも、巨大噴火とその避難計画にある。
原発の半径160キロ以内には、大昔に超巨大噴火を起こしたカルデラが5つ以上ある。
過去約10万年の間には、高温の火山灰や岩が高速で流れ下る火砕流が、今の原発の場所まで届いたこともある。
巨大噴火をあらかじめ予知して核燃料を安全に運び出すのは不可能で、立地が不適切である、という批判もある。
こうしたことから2010年に3号機の増設に関する環境影響評価のやり直しを求める住民訴訟が、東日本大震災による運転停止後の2012年には1・2号機の運転差し止め訴訟、2014年には運転差し止めを求める仮処分申し立て訴訟が行われている。
2014年の仮処分申し立てで、九州電力と規制委員会は「噴火の前ぶれをつかんで対応できる」「原発の運転期間中に破局的な噴火が起きる可能性は低い」と主張した。
鹿児島地裁は2015年4月に申し立てを却下。住民側は即時抗告したが、2016年、福岡高裁宮崎支部は、
「それほどまれな噴火まで心配することは、常識的に求められていない」
という趣旨の判断を示した。
この間、川内原発は2015年8月に再稼働をしているが、地元住民らによって、お年寄りや体の不自由な人の受け入れ先が足りないといった避難計画についての不備が指摘された。
1・2号機の運転差し止め訴訟は、2025年2月に鹿児島地裁が訴えを退けたが、住民側は控訴している。