
『マイ・プライベート・アイダホ デジタルリマスター版』
© 2026 WBEI
50代の映画好きにとって、故リヴァー・フェニックスやキアヌ・リーヴス、マット・ディロンは青春時代を彩るハリウッド・スターだったのではないでしょうか。そんな彼らが主演した90年代前半の青春映画『マイ・プライベート・アイダホ』と『ドラッグストア・カウボーイ』が、嬉しいことに、8月~9月にかけてそれぞれデジタルリマスター版として連続上映されます。この機会に、あの頃の美しい彼らにスクリーンで再会してみませんか。
両作品とも、監督はガス・ヴァン・サント。1985年に『マラノーチェ』でデビューし、2作目の『ドラッグストア・カウボーイ』、3作目の『マイ・プライベート・アイダホ』で青春映画の名手とし高く評価されました。そして、『エレファント』(2003年)でカンヌ国際映画祭パルムドール&監督賞を受賞するなど現代アメリカを代表する監督のひとりとなり、現在も最新作『デッドマンズ・ワイヤー』が公開中と精力的に活動しています。
今回のコラムでは、劇場公開される2作品と併せて、サント監督の4作目でリヴァーに捧げた『カウガール・ブルース』も紹介します。今なお色褪せない青春映画の名作ととともに、懐かしいひとときを。
リヴァーとキアヌの美しさは永遠! 友情と愛、母親への愛が胸に刺さる
『マイ・プライベート・アイダホ』
『マイ・プライベート・アイダホ デジタルリマスター版』© 2026 WBEI
1991年の劇場公開時、若手スターの筆頭格だったリヴァー・フェニックスとキアヌ・リーヴスの共演で、男娼の世界や同性への愛を描いたことが大きな話題を呼びました。平原の一本道で始まり、一本道で終わる物語は、同じ時間を共有した若い彼らの新たな人生を象徴するかのようです。
『マイ・プライベート・アイダホ デジタルリマスター版』© 2026 WBEI
ポートランドの路上で体を売って暮らしているマイク(リヴァー・フェニックス)は、突然意識を失ってしまうナルコレプシーという病を抱えています。彼の親友のスコット(キアヌ・リーヴス)は、実は市長の息子でお金持ちですが、父親への反発もあって家出をしている身。そんな彼らは中年男のボブを父親として慕っています。ある日、マイクとスコットは、幼い頃にマイクを捨てた母を探す旅に出ますが……。
『マイ・プライベート・アイダホ デジタルリマスター版』© 2026 WBEI
旅の途中で、マイクとスコットが焚火をしながら語り合うシーンの美しさは必見。リヴァーは母を恋しがる気持ちとスコットに親友以上の愛を感じてしまう葛藤を繊細に表現し、キアヌの演技にはそんなマイクの気持ちを冷静に受け止めようとする余裕が感じられます。
『マイ・プライベート・アイダホ デジタルリマスター版』© 2026 WBEI
筆者の手元にある古い雑誌(『CUT』1996年11月号)に、本作を撮った直後に行われた二人の貴重なインタビューの翻訳が載っていました。その一部を抜粋すると、サント監督は「キアヌの中にちょっとした育ちの良さを、リヴァーにストリートの一部を見た。彼らは自分自身の延長を演じ切った」とあり、二人は同時に脚本をもらっていて「おまえがやるならおれもやる。おまえがやらないならおれもやらない」と出演を決めたそうです。若い男子二人がジョークを言いながらしゃべっている、といった感じの内容でしたが、彼らが本作の撮影を楽しんだこと、そして本当に仲が良いことが伝わってきました。この撮影から2、3年余りでリヴァーが23歳にしてこの世を去ることになってしまっただけに、彼の美しさを永遠に刻んだ作品ともいえるでしょう。

『マイ・プライベート・アイダホ デジタルリマスター版』
1991年製作
監督・脚本:ガス・ヴァン・サント
原作:ウィリアム・シェイクスピア『ヘンリー四世 第1部』『ヘンリー四世 第2部』『ヘンリー五世』
2026年8月7日(金)より、シネマート新宿、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー
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あの頃夢中になったマット・ディロンのかっこよさ、ヒリヒリする逃避行
『ドラッグストア・カウボーイ』
『ドラッグストア・カウボーイ デジタルリマスター版』
© 1989 Avenue Entertainment, Inc. All Rights Reserved.
「分かってた。いつか破滅すると」という主人公ボブ(マット・ディロン)の独白で始まる本作は、麻薬欲しさにドラッグストアで盗みをはたらいて暮らし、いつか捕まるかそうでなければ死ぬと知りつつ、突っ走ってしまった若者たちの物語。1990年に公開された本作は、マット・ディロンのかっこよさを全面に押し出した、ヒリヒリするような青春映画。日本でも人気が高く、筆者も本作が大好きでした。
『ドラッグストア・カウボーイ デジタルリマスター版』
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舞台は1971年のポートランド。ドラッグ中毒仲間のボスを自認するボブは、妻ダイアン(ケリー・リンチ)、友人リック(ジェームズ・レマー)、リックの恋人で10代の少女ナディーン(ヘザー・グラハム)を率いてドラッグストアを荒らしていました。犯罪のスリルと手に入れたドラッグによる快感がすべて。そんな享楽的な日々も、ある事故をきかっけに、終焉へと向かうのでした。
『ドラッグストア・カウボーイ デジタルリマスター版』
© 1989 Avenue Entertainment, Inc. All Rights Reserved.
悪党のわりに不吉なジンクスにこだわるボブ、意外な強かさを見せる妻のダイアン、そんな彼らの人生の選択も興味深い作品。マット・ディロンだけでなく、ケリー・リンチもかっこよくて、当時は長い脚でブーツカットのパンツを履く姿に憧れたものです。そして、ヘザー・グラハムもフランス人形のように愛らしい。
『ドラッグストア・カウボーイ デジタルリマスター版』
© 1989 Avenue Entertainment, Inc. All Rights Reserved.
物語自体は珍しくはないものの、どうしようもない若者たちの破滅への逃避行と再生への希望を詩的な映像で綴った本作は、当時も今も、観る者に鮮烈な印象を残します。

『ドラッグストア・カウボーイ デジタルリマスター版』
1989年製作
監督・脚本:ガス・ヴァン・サント
2026年9月18日(金)より、シネマート新宿、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー
© 1989 Avenue Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

