2万人の足を触った靴のプロが「流行っていても毎日は履かない」と断言する靴・サンダル3選

2万人の足を触った靴のプロが「流行っていても毎日は履かない」と断言する靴・サンダル3選

こんにちは、シューフィッターの佐藤靖青(旧・こまつ)です。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。

靴の流行は目まぐるしく変わります。厚底、薄底、ロープロファイル……次々と新しいトレンドが生まれますが、シューフィッターとして見ていると「流行っているけれど、毎日履くのはおすすめしない」という靴も少なくありません。

もちろん、ファッションとして楽しむ分にはまったく問題ありません。ただ、「旅行をこれ1足で」とか「長時間の街歩きまで任せる」のは厳しいモデルも正直あります。

ネットでは「これ1足で3万歩歩いても平気」といった声を見かけることもありますが、足の感じ方や歩き方には個人差があります。今回は、そんな「いま流行っているけれど、シューフィッターの私なら毎日は履かない靴」をご紹介します。

◆①「超」厚底リカバリーシューズ・サンダル

HOKA
HOKA「スカイワード レースレス」。写真は公式HPより
厚底で歩きやすい・走りやすいことでおなじみのHOKA。約5cmの圧巻の厚底、270グラムという超軽量、さらに紐のないスリッポンということで、靴屋のみならずアパレルショップでもよく見かける「スカイワード・レースレス」ですが、私なら一日歩く用途では絶対に選びません。「厚底ふかふかなのに?」「リカバリーシューズなのに?」と思われるでしょうが、しんどい理由はむしろその2点。

このモデルは本来フルマラソンや激しいガチンコのスポーツのあとに、疲れ切った足を「休ませる」ための靴です。疲れてもいない足で履いてしまうと、砂浜の上を歩くように、沈み込みすぎるんです。砂浜の上って、短い距離なら裸足で歩いても気持ちいいですよね? しかし1キロ以上歩くとどうでしょうか? それと同じことです。

歩くためのモデルはHOKAの中でも「クリフトン」「ボンダイ」など、きちんと別にあります。

ウーフォス
ウーフォス「OOmega OOahh」。写真は公式HPより
こちらはリカバリーサンダルでおなじみのウーフォス。定番モデルに厚みを15ミリ足した「OOmega OOahh」。街を歩いていると、これを見かけない日がありません。が! 歩いていて不安定そうに見える方を見かけることがあります。

私自身、「ネンザしないだろうか」とハラハラすることも少なくありません。ウーフォスも疲労回復を目的にしたメーカーではありますが、このモデルは実用よりもファッションに振り切っています。実は公式発表でも明確に「ファッションサンダル」と言い切っており、メーカーに責任はないのですが……ショップで見かけてしまうと、「クッションすごい!」「身長盛れる!」で買ってしまう方がほとんどでしょう。

くりかえしますが「ファッションとして」割り切って履くなら良いのですが、過剰なクッションによって、かえって不安定感も増してしまうので、短い距離限定として使う方がベター。ネットでは「3万歩でも全然疲れない!」みたいなことも言われていますが、どこまでも発信者の“個人の感想”に過ぎないので、鵜呑みにしないようにしましょう。リカバリーサンダルはどちらかといえば「歩くため」ではなく「休ませるため」が目的です。

◆②薄底ロープロファイルスニーカー

アディダス
アディダス「トーキョー」。写真は公式HPより
ファッション的には「ロープロファイル」と呼ばれる薄底・クラシックなモデルも流行っています。アディダスの「トーキョー」もよく売れていますが、残念ながら長距離には向いていません。理由はシンプル、底が薄すぎる。こちらも歩くための靴ではなく、「魅せるため」のファッションシューズです。「あのアディダスだから」「細かい部分もしっかり作りこまれてるから」イコール歩ける靴、ではありません。70年代をイメージしたスニーカーを各メーカーがこぞって販売していますが、当時はコンクリではなく土の上を走るモデルだったり、まだ十分なクッション材が開発されていなかったなどの背景があります。室内ならある程度は快適に履けるでしょうが、令和のコンクリの上を歩くにはやや酷。

「薄底シューズは健康にいい」という話とごちゃまぜにしている方もいますが、べアフットシューズなどのハイテク薄底シューズのメーカーはかなり緻密に計算しています。それも段階を踏んで徐々に薄底に慣らす、といったステップが必要なので、薄底ならなんでも良いという単純な話ではありません。


配信元: 日刊SPA!

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