2階にはめったに上がりません…住宅ローン8,000万円を払いきった70代夫婦。いまや子ども部屋3室余った郊外の庭付きマイホーム、「いらなかったのでは」という老後の問い

2階にはめったに上がりません…住宅ローン8,000万円を払いきった70代夫婦。いまや子ども部屋3室余った郊外の庭付きマイホーム、「いらなかったのでは」という老後の問い

国土交通省「令和5年住生活総合調査結果確報集計報告書」によると、シニア世代が「住み替えやリフォームをしない理由」で、最も多いのが「現在の住まいに満足している(34.7%)」、次いで「住み慣れていて思い入れがある(7.9%)」という結果が見えます。マイホームへの愛おしさと、老後の現実的な暮らしやすさの間で揺れるシニアの本音。事例を見ていきましょう。※事例の人物名はすべて仮名です。

8,000万円かけて築いた理想のマイホーム

郊外の閑静な住宅街に居を構えるシンジさん(78歳)と妻のハツヨさん(77歳)。

49年前、子どもたちをのびのびと育てるため、第3子の妊娠を機に、設計士と何度も打ち合わせを重ねて理想のマイホームを建てました。間取りは2階に子ども部屋が3室と夫婦の寝室、1階に広々としたLDKと客間という仕様です。

約8,000万円という大きな住宅ローンを背負うことになり、シンジさんは通勤も不便になりましたが、家族のため、そして「一生ものの終の住処を手に入れる」という夫婦2人の目標のために、力を合わせて返済を続けてきました。子どもたちが元気に家の中を走り回り、それぞれの部屋で勉強や遊びを充実させた時期は、間違いなく人生のなかで最も賑やかで幸福な時間でした。

やがて3人の子どもたちは順調に成長し、進学や就職、結婚を機に一人、また一人と家を巣立っていきました。

1階だけですべてが完結する生活…放置された2階の4部屋

子どもたちが全員独立し、再び夫婦二人だけの生活に戻ると、広い家のなかは急に静まり返りました。さらに年月の経過とともに、夫婦の身体にも変化が現れはじめます。

70代に入り、お互いに足腰の衰えや痛みを覚えるようになったシンジさんとハツヨさん。階段の上り下りが負担となり、2階にあった夫婦の寝室からベッドを1階の和室へ下ろして生活するようになりました。

それ以来、食事も就寝も身支度もすべて1階だけで完結するようになり、2階へ足を運ぶ理由は失われたのです。いまでは「2階にはめったに上がっていない」とハツヨさんは語ります。

かつて子どもたちが使っていた3つの部屋と元寝室は、実質的な放置状態に。たまに子どもたちが孫を連れて帰省した際、風通しや掃除をしてくれていますが、自分たちだけでは「普段から換気や掃除をやらなきゃ」と思いつつも、億劫さが勝って「まあいいか」と放置してしまうのが日常になっていました。

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