◆10組68人、推しが見つかる理由
現在のEBiDANは10組。次の通りだ。■M!LK 2014年結成、5人組
■超特急 2011年結成、9人組。歌とダンスを融合させたエンターテインメント集団
■SUPER★DRAGON 2015年結成、9人組。略称・スパドラ。スタイリッシュなダンス&ボーカル集団
■Sakurashimeji 2014年結成、2人組。ギターデュオ。自分たちで作詞・作曲も行う
■ONE N’ ONLY 2018年結成、5人組。ダンス、ボーカルに加え、ラテンやブラジル音楽の要素も取り入れている
■原因は自分にある。 2018年結成、7人組。略称・げんじぶ。作品の歌詞は哲学的、文学的なものが多い
■BUDDiiS 2020年結成、9人組。J-POP、ポップスを基調にしながら、R&B、ヒップホップ、ファンクなども取り入れている
■ICEx 2023年結成、8人組。王道アイドルポップ。「キュート」「爽やか」「キャッチー」という方向性が強い
■Lienel 2023年結成、6人組。青春・恋愛ポップスを得意とする。ダンスも売り物
■iiONDO 2026年結成、8人組。EBiDANの発足15周年を記念して行われたオーディションでメンバーが選ばれた。8人は2008~11年生まれと若い。
M!LKと同じく、どのグループもアイドル色は薄い。それぞれが個性ある男性アーティストになることを目指している。
また、これまでのアイドルは所属芸能事務所のトップの好みが色濃く反映されたが、EBiDANのメンバーは複数の人間がスカウトしたり、オーディションで選ばれたりしているので、バラエティーに富んでいる。このため、ファンの側からは自分好みの推しが見つけやすい。
8月13日から4日間にわたって開催されたEBiDANのライブ「エビライ」は計5万人を動員した。開催中、会場となった国立代々木競技場第一体育館の周辺は女子中高生たちで埋め尽くされた。
◆熱狂より癒やし、令和のエビライ
昭和世代の記者はかなり恥ずかしかったが、10代の女性たちが目を輝かせているのを見て、こちらまで胸が弾んだ。若い人にとって恵まれている時代とは思えないから、楽しそうにしている若者を見ると、理屈抜きにうれしくなる。オープニングは全員で「恋のDing Dong」を歌った。アップテンポの明るいポップスだ。いきなり会場は最高潮である。日常が吹き飛んだ。ただし、過去のアイドルのコンサートと違い、泣いたりしている観客はいない。楽しそうに歌とダンスを見つめている。
2曲目は最新曲の「Yes! 東京」を、やはり全員で歌った。ここでも大きな嬌声を上げるような観客はいない。とにかく楽しそうなのだ。男性若手歌手もスタイルが変わったが、観客側も変貌を遂げた。この曲は大ヒット中なので、紅白にM!LKとは別枠でEBiDANも出場する可能性がある。
会場でM!LKの佐野は「みんな、癒やされて」と呼び掛けた。かつてのアイドルのコンサートは癒やしの場ではなかった。熱狂する空間だった。観客は推しの活躍を間近に見ることで癒やされるのだろう。
仲が良いのもEBiDANの特徴だ。張り合ったり、過度に自己主張したりせず、どのグループも一緒にショータイムなどに興じた。もう同じグループ内、ユニット内で仲間同士が競うのも時代遅れなのかもしれない。みんなで一緒に成長しようということなのだろう。
3時間、36曲を聴き終えた観客は満足そうに家路についた。デトックス(解毒)を終えたかのようだった。若者が推しを求める気持ちが、なんとなく分かった。<文/高堀冬彦>
【高堀冬彦】
放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

