
◆夏のパフォーマンスは上がらない根本原因
連日の酷暑。うだるような熱気の中、冷房の効いたオフィスへ逃げ込み、キンキンに冷えたアイスコーヒーを一気に流し込む。そして、夜は「暑いから」と冷たいビールとそうめんで済ませ、シャワーだけ浴びてベッドに倒れ込む――。もしあなたがこんな生活を送っているなら、今すぐ立ち止まってください。表参道で治療院を営み、数多くの最前線で闘うビジネスパーソンたちの体を診ている柔道整復師として、そして東洋医学をベースに身体構造をハックする専門家として、あえて厳しいことを言わせてもらいます。
あなたが感じているその「だるさ」「食欲不振」「朝起きられない」といった症状は、単なる「夏バテ」ではありません。医学的・生理学的に言えば、「自律神経の過労死寸前(システムエラー)」です。
ビジネスの現場では、リスクマネジメントや数字の分析には徹底的にこだわるのに、資本である自分の体のメカニズム(エビデンス)には無頓着な人が多すぎます。AIのように疲れを知らない体を手に入れることは不可能ですが、体のプロフェッショナルが実践する「正しいエビデンスに基づいたリカバリー戦略」を知れば、夏のパフォーマンスは劇的に変わります。
今回は、巷に溢れるフワッとした健康法ではなく、解剖生理学と東洋医学のハイブリッド視点から、絶対に嘘のない「真の夏バテ対策」をお伝えします。
◆なぜあなたは夏に「ぶっ倒れる」のか?

人間の体は、常に体温を36度前後に保つようにプログラミングされています。これを「ホメオスタシス(恒常性)」と呼びます。猛暑の屋外に出れば、自律神経は血管を拡張させ、汗腺を開き、必死に熱を逃がそうとします。しかし、次の瞬間、冷房が26度に設定された電車やオフィスに入ると、今度は急激に血管を収縮させ、熱を逃がさないようにフル稼働します。
この「拡張」と「収縮」のスイッチを、1日に何度もしかも極端な温度差の中で強制的に切り替えさせられるのが現代の夏です。自律神経(交感神経と副交感神経)の切り替えには膨大なエネルギーを消費します。結果として、脳の自律神経中枢に酸化ストレスが蓄積し、「細胞レベルでの疲労」が引き起こされます。これが医学的な夏バテのメカニズムです。
さらに、東洋医学の視点を加えましょう。東洋医学では、夏は「湿気」と「熱」が体に侵入し、消化吸収を司る「脾胃(ひい=胃腸系)」を直撃する季節だと考えます。自律神経が疲弊すると、胃腸への血流が低下します。そこへ冷たい飲み物やアイスを流し込むと、胃腸の温度は急降下し、消化酵素の働きは完全にストップしてしまいます。
「疲れたからスタミナをつけよう」と焼肉を食べても、栄養を吸収する「胃腸の機能(脾胃)」が死んでいれば、それはただの胃もたれ製造機でしかないのです。

