父は奮闘、娘は複雑? 不器用な愛にホロリとする「父と娘」を描いた日本映画3選

父は奮闘、娘は複雑? 不器用な愛にホロリとする「父と娘」を描いた日本映画3選

『見えない娘 THE INVISIBLES』
©THE INVISIBLES Production Committee


 やっぱり家族っていいなあ。帰省や家族旅行といった夏のイベントも終わったこの時季、ふと家族のぬくもりが恋しくなるものです。そこで今回は、家族映画に注目。数多くの映画のなかから、ちょっと変わった設定ながら父と娘の普遍的な愛情を描いた日本映画を紹介します。

 毎熊克哉が父を演じる新作映画『見えない娘 THE INVISIBLES』(8月28日公開)を筆頭に、旧作2作を加えた3作を厳選。父親の不器用な愛情表現にクスっとしたり、親としての自分を重ねてほろりとしたり、かつて娘だった自分の気持ちを思い出したり、さまざまな楽しみ方ができるの心温まる作品ばかりです。

末娘は透明人間! 心配性の父と三姉妹が珍道中の果て得たものとは?
『見えない娘 THE INVISIBLES』

『見えない娘 THE INVISIBLES』©THE INVISIBLES Production Committee

 とある島で、父・星野学(毎熊克哉)は男手ひとつで三姉妹を育てながら暮らしています。長女・風子(近藤華)、次女・音々(矢山花)、末娘・ひかり(鈴木凜子)は仲良しで、庭先で映画監督志望の風子がカメラを回し、音々とひかりが演じるホラー映画を撮影しながら遊んでいます。そんな幸せな一家ですが、学は目立たぬように生活することを心がけていました。なぜなら、一家は大きな秘密を抱えているからです。それは、ひかりが生まれつきの透明人間であること。

『見えない娘 THE INVISIBLES』©THE INVISIBLES Production Committee

 そんなある日、学は、疎遠になっている祖母・砂川エリ子(余貴美子)が入院したという知らせを受けます。「おばあちゃんに会いたい」とせがむひかりに根負けした学は、渋々、東京へ向かうことに。一家でタクシー運転手(寺島進)の車に乗り込むと、学は懸命にひかりの存在を隠そうとしますが、娘たちは「なぜ隠さないといけないのか」とばかりに無邪気にはしゃいでしまい……。

『見えない娘 THE INVISIBLES』©THE INVISIBLES Production Committee

 娘が透明人間というSF的な設定ですが、「娘に何かあったら大変!」と過保護なまでに心配する父親の気持ちには誰もが共感することでしょう。父親役の毎熊克哉は、娘を案じてあれこれ策を練ったにもかかわらず旅先で娘たちに翻弄される姿を、優しい困り顔で好演しています。一方、天真爛漫な娘たちも魅力的で、長女と次女がひかりを当たり前の存在として受け入れている様子に心があたたかくなります。ひかり役は子役の鈴木凜子で、その姿は見えませんが、天真爛漫で愛らしく、でも自分の存在を知られてはいけないという悔しさや悲しさもほんのり滲ませています。

 ひかりの出生の秘密と存在は、観る人によってさまざまな解釈ができます。明るくてユーモラスなトーンで貫かれた、示唆に富んだ作品です。

『見えない娘 THE INVISIBLES』

2026年製作

監督:竹林亮
出演:毎熊克哉 鈴木凜子 近藤華 矢山花 寺島進 余 貴美子
配給:PARCO CHOCOLATE Inc.

2026年8月28日(金)、TOHOシネマズ日比谷他全国公開


©THE INVISIBLES Production Committee

血の繋がらない父と娘の絆を育んだ手料理とピアノの音色に感涙
『そして、バトンは渡された』

 永野芽郁主演、田中圭、石原さとみが共演した大ヒット作。瀬尾まいこによる2019年本屋大賞受賞作「そして、バトンは渡された」の映画化ですが、ラストは原作と異なっています。

 血の繋がらない親に育てられ、何回も苗字が変わった高校生の優子(永野芽郁)は、現在は料理上手な義理の父親、森宮さん(田中圭)と二人暮らし。卒業式に向けてピアノを猛特訓中ですが、友達関係も恋もあまりうまくいっていません。

 一方、自由奔放に生きる女性、梨花(石原さとみ)は、再婚を繰り返しながらも、愛娘で泣き虫のみぃたんと共に暮らしていました。しかし、突然に梨花は娘の前から姿を消してしまいます。

 ある日、優子の元に届いた一通の手紙。優子に何かを隠していた森宮さん。そして、消えた梨花。それぞれの物語が繋がり、タイトルの意味が明らかになっていきます。

 梨花の行動をどう思うか観る人によるところで、筆者は彼女に共感できないのですが、森宮さんの優子への献身ぶりに感動しました。森宮さんは東大出身のお人よしな男性で、わけあって娘になった優子を受け入れ、自分にできる父親らしいことは何かを考え、日々、夕飯とお弁当を作っています。優子に「キャラ弁はやめて」とやんわり言われても、せっせと作る森宮さん。そして、ピアノの練習をする優子の横で歌う森宮さん。なんだか泣けてきます。卒業式のシーンは娘を見守る森宮さんと一緒に、筆者も泣いてしまいました。

 ピアノが上手な同級生の男子・早瀬君(旧名:岡田健史/現:水上恒司)を見つめる優子に気づいて、寂しいような複雑な表情をする森宮さんにも共感。そして、ラストの方で、優子が森宮さんに放つ一言が暴言というか、かなり子どもっぽいのですが、優子が森宮さんに対して遠慮がなくなり、本当の父と娘のようになれた瞬間のように感じられました。

 また、作り笑いが処世術の優子を演じた永野芽郁を筆頭に俳優陣の演技が魅力的で、あまり現実的ではない展開にもかかわらず、その世界にぐいぐいと引き込まれます。

『そして、バトンは渡された』

2021年製作

権利元:ワーナー ブラザース ジャパン
ブルーレイ&DVD発売元・販売元:ハピネット・メディアマーケティング

©2021映画「そして、バトンは渡された」製作委員会

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