「赤ちゃんを迎えると、ペットに注げる時間はどうしても減ってしまうもの。これまで飼い主の愛情を100パーセント受けてきたペットは、疑問や心細さを感じます。ここで重要なのが、『赤ちゃんが来たせいで嫌なことが起こった』という経験を最小限に留めさせることです」(水越さん 以下同)
ペットは、『飼い主が赤ちゃんと一緒にいる=自分が孤独になる』と、ストレートに捉える。このマイナスの経験が、ストレスや赤ちゃんに対してのネガティブな感情につながるという。そうならないためには、どうペットと接するのがいいのだろうか。
「子の出産前にできるだけペットを甘やかしてあげようとする飼い主さんが多いようですが、実はこれは逆効果。理想的なのは、妊娠期間中にペットに独立心をつけてあげるようにすることです。例えば、授乳が始まればペットを一時的に遠ざける必要もあるでしょう。事前にケージやサークルに入れる訓練をしたり、知育玩具を与え一人遊びに慣れさせたりしておけば、出産後に急激な変化を感じさせることはないはずです」
もちろん、こういった訓練は赤ちゃんを家に迎えてからでも効果的だ。また、ペットにとって安心できる居場所を整えることも大切だという。
「ペットにとって赤ちゃんは見慣れない生き物。予測のつかない行動や大きな泣き声など、平穏を壊す存在でもあります。犬ならば赤ちゃんから離れた場所に置いたサークル、猫ならば高くて落ち着けるタワーなど、逃げ場所を作ってあげてください」
赤ちゃんとペットを二人きりにしないことも重要だ。赤ちゃんが無邪気にペットに触れる、じっと目を見つめるなどの行為が、時としてペットには攻撃と映る場合もあるのだ。
「ペットと人間の関係も、人間同士の関係と一緒。お互いに『大丈夫な相手だ』と認識して初めて、自然と距離が縮まっていくものです。両者を無理に近づけるのではなく、お互いにとって良い経験を増やすようにサポートをしてあげてください」
赤ちゃんもペットも大切な家族。親としてまた飼い主として、家族みんなが居心地のよい環境を作ることを意識しよう。
(波多野友子+ノオト)