男性DV被害者、実は女性の4倍で増加

男性DV被害者、実は女性の4倍で増加

第4回 もしかして”DV”に悩まされないで
配偶者や恋人を相手に身体的・精神的に暴力をふるうDV(ドメスティック・バイオレンス)。DVは必ずしも、加害者は男性で、被害者は女性と決まっているわけではない。都の配偶者暴力相談機関に聞いた内容をまとめた。

配偶者や恋人を相手に身体的・精神的に暴力をふるうDV(ドメスティック・バイオレンス)。DVは必ずしも、加害者は男性で被害者は女性と決まっているわけではない。都の配偶者暴力相談機関に聞いた内容をまとめた。

東京都では今のところ、男性のDV被害者に関する統計データはない。しかし、DVの定義は男性も女性も同じだ。男性が女性からのDVに悩んでいるケースもありえるだろう。

DVについての被害相談が全体的に年々増加傾向にあるなか、最近では男性からの被害相談が急増しているという報道もあった。警察庁の調査では、DV被害に関する相談件数は、2010年の2.3%から2013年には6.6%に増加。女性の1.4倍に対し、男性は4.1倍という増え方だ。

一方で、神奈川県は2014年11月、男性のための無料の電話相談窓口を開設した。「妻からの暴力に困っている」といった被害相談だけでなく、「自分が暴力を振るってしまうのをやめたい」という加害者側からの相談も受け付けているそうだ。

男性DV被害者、実は女性の4倍で増加

女性が行いがちなDVとしては、精神的なDVが挙げられる。例えば、夫に「収入が低い」となじったり、相手の仕事内容をバカにするような発言をしたりしていないだろうか。そのほか、夫の交友範囲を著しく制限したり、携帯や郵便物を執拗にチェックしたりする行為もDVにあたる。

子育てのストレスや経済的な不安を抱えて、ついつい夫にダメ出しをしたくなってしまう時はあるだろう。だが、相手の尊厳を傷つけたり、人格を否定したりするような言葉を投げかけることで、自分がDV加害者になる可能性があることを忘れてはいけない。

DVは、加害者本人に「DVを行っている」という自覚がないことが多く、むしろ「相手が自分の気持ちを理解してくれない」と被害者意識を持っていることは珍しくない。これがDVの問題をより根深いものにしている。

DVの被害者はもちろん、加害者にならないためには、自分や相手の普段の言動を振り返り、お互いの関係性を見直す機会をもつことが大切だ。
(北東由宇+ノオト)

配偶者暴力(DV)・交際相手暴力(デートDV)被害者ネット支援室