出産・育児に対するサポートが充実
そもそも北欧の国や社会は、育児に関する考え方が日本とは大きく異なるようです。それは、「働き方と育児のバランスのとりかた」によく表れています。
「北欧諸国は共働きの家庭が多いこともあって、男女ともに出産・育児休業制度が充実しています。日本では父親の出産休暇の取得可能日数がないのに対して、フィンランドやデンマーク、スウェーデンでは2週間ほどの休暇が認められています。また、出産休暇時の給与もしっかり保障されているので安心です。育児休暇もしっかり利用されていることが多く、スウェーデンではその利用率は9割以上。日本が1割未満なのに比べると圧倒的に高い数値ですね」(澤野由紀子さん、以下同)
なお、スウェーデンでは1960年代に女性の就労率が上がったことにともなって保育の社会化が進み、支援体制を強化したとのこと。日本でも働くお母さんは増えていますが、北欧の事例を見る限りこうした社会的な支援はまだまだ不十分といえそうです。
子育てを楽しめる国づくり
また、スウェーデンは民間レベルでも子育てに対する興味や意識が高いようです。
「国民への“子どもをもっと増やしたいか?”というアンケートで、日本では『増やしたい』という人が約49%だったのに対して、スウェーデンは約86%と高い回答が得られました。実際に出生率も上昇傾向にあります。教育にまつわる金銭的な負担がないに等しいので、子どもを産み、育てやすい環境が整っているといえるのではないでしょうか。小学校から大学まで入学金や授業料は無料なので、家庭の収入に左右されることなく質の高い教育を受けることができます」
北欧の国々には、子育て支援制度を充実させることによって、社会全体で子どもを育てていこうという姿勢がみられます。少子化が進む日本も学ぶべきところが多いかも知れません。
(文・末吉陽子/やじろべえ)