なぜ、子どもに金銭教育が必要なの?
“お金”というと、まだお金をよく理解してない子どもでも、“たくさん欲しい”とイメージするモノですね。でも、使い方ひとつでお金は自分を幸せにも不幸にもします。それは、“お金を使う人がきちんと理解していないから”だという竹谷さん。
「ファイナンシャル・プランナーという仕事をしていると、いろんなご家庭の家計を見せていただくのですが、皆さんつまづくことが同じだったり、知識が足りないだけで損をしてしまったり、周りに流されて家を買ってしまってキツキツ生活していたり…もうちょっとリテラシーをもって生活していればこんなことには…と思うんです。そんなときに、我が子をみて“子どものうちからお金の教育ってできないかな?”って思ったんです」
2児の母でもある竹谷さんは、それから我が子で金銭教育を実践。その経験をもとに、金銭教育の大切さを多くの人に提唱しています。
「これからの時代は、昔と違ってますます自己責任が問われる世の中になっていきます。昔は物価が上がればお給料も上がっていきました。でも、今は物価や消費税が上がっても手取りは減るばかり。そんな中で、どうやっても我が子の暮らしやすい社会にはならないですよね。そう思ったときに、お金のことや経済や社会のしくみを最低限知っておくことは絶対必要です。さらに、インターネット社会になり、たくさんの溢れる情報の中から自分に必要なものを自己責任で精査し“騙されない”ということも重要になってきます。でも、残念ながらお金のことは学校では教えてもらえません。だからこそ、ご家庭での“おこづかい制”や“お駄賃制”などを通して、お金のありがたみや、稼ぐことの喜びや大変さ、やりくりのむずかしさなどいろんな体験をさせて、子どもの心を育んでほしいというのが、金銭教育なんです」
金銭教育は7歳~12歳までがべスト!
では、子どもの金銭教育はいつごろから始めるのがいいのでしょうか?
「7歳~12歳までがベストだと私は考えます。理想はお子さんがお金に興味を持ったときがいいですが、目安としては自立心がめばえる就学のタイミングがいいと思います。我が家の場合は、娘が7歳のときにローンのCMを観て“ローンて何?”と、聞いてきたのがきっかけでした。そして、なぜ12歳までがベストかというと、親の言うことを素直に聞いてくれる思春期前までということです。思春期に突入してしまうと、照れや反抗心などが芽生え、素直に親の言うことも聞いてくれなくなるので、お金の教育も難しくなってしまいます。金銭教育は、早すぎも遅すぎもよくなくて、タイミングが重要です」
お金って何?
ではまず、金銭教育の前に基本中の基本。子どもに“お金って何?”と聞かれたら、どう説明したらいいのでしょうか?
「お金のいい面、悪い面というのは、子どもたち自身がお金を通して体験して感じて学んでいくものなので、お金の役割というものを教えてあげてください。まず、お金がなくなると私たちは生活できないということを前提に、お金はモノと交換できる。値段があることで価値を知ることができる。そして、貯金ができる。この3つがあるから、私たちは生活ができるということを教えてあげてください。さらに、そのお金を使うと、世の中に出て、血液みたいにぐるぐるまわっていろんな人のところにお金がまわって、だからみんなが生きていけると。そしてお父さんのところにもお給料として戻ってくるのよ…と教えてあげてください」
子どもと交わすお金の約束5ヶ条
さらに、竹谷さんは子どもがお金と関わるようになるタイミングで、必ず次の5つの約束をしてほしいといいます。
第1条 お金の貸し借りはしない
第2条 お金は鍵のかかるところに保管する
第3条 欲しいものがあるときは、一晩おいて考えてみる
第4条 モノ、お金を大切にする
第5条 困ったときはいつでもお父さん、お母さんに相談する。
撮影/岡村智明 構成・文/横田裕美子