でも、男の子を育てる上で特に注意したいことって何? 『男の子の育て方』『女の子の育て方』(WAVE出版)などの著書を持つ、明治大学文学部教授の諸富祥彦先生は次のように語る。
「男の子を育てるときにNGなことは、ガミガミ言うこと、否定すること、プライドを傷つけること。男の子は傷つきやすいため、自尊心を傷つけられて育つと、大変なときに踏ん張れない子になってしまうんです」(諸富先生 以下同)
あらゆる子育てで大切なのは、「信頼と期待をかけること」。だが、男の子の場合は、お母さんが特にそれを忘れてしまいがちだと諸富先生は指摘する。
「男の子のほうが、お母さんの想定外のことをすることが多いため、どうしても心の安定を揺るがしやすく、お母さんがキレやすくなる傾向があります。お母さんが自分の気持ちをコントロールしにくくなるのです」
電車のなかや街なかで、「子どもにキレるお母さん」を見ることがあるが、これは「想定外のことをする」「自分の思い通りにいかない」男の子に、心の安定が乱されてしまった状態なのだそう。
男の子がしでかす事態に、ついカッとしてしまうママは、どうしたら良い?
「カッとしてしまうのは、余裕をなくしているためですから、まずはひと呼吸置くこと。そして、否定的にではなく、『あなたは〇〇だから、できるよね』と肩に触れるなどしながら、粘り強く語りかけましょう」
このように、相手を信頼し期待して援助することを、アドラー心理学では「勇気づけ」というそう。
「お母さん方は『どう言ったら良いか』『どう言えばわかるのか』とセリフばかり気にしますが、セリフよりもスキンシップが大切ですよ」
どんなに激しく泣いているときでも、抱っこをすると、子どもは落ち着いてくるもの。
「スキンシップの重要性が日本ではあまり知られていませんが、抱っこは『心理療法』です。だから、子育ては『ベタベタ、チュッ』で良いんです」
ちなみに、ママが男の子に「ベタベタ、チュッ」をやって良いのは、いつ頃まで?
「普通は成長過程で疎ましがるようになりますから、子どもが嫌がるまではずっと『ベタベタ、チュッ』で良いですよ」
自分の子をマザコンに育ててしまわないか心配する必要なんて、全くナシ。手がかかる男の子の子育てだからこそ、積極的にスキンシップをはかってみては?
(田幸和歌子+ノオト)