でも、「同性だからこそ、子育てで注意が必要な点もある」と言うのは、『男の子の育て方』『女の子の育て方』(WAVE出版)などの著書を持つ、教育カウンセラーで明治大学文学部教授の諸富祥彦先生。
女の子の子育てで、特に気をつけなければいけないことって、どんなこと?
「お母さんが、自分と同じだと思いすぎないことです。お母さんは女の子に対して、自分のコピーのように思ってしまう傾向があります。『絵だけは上手くないと』『ピアノだけは弾けないと』と、自分ができたことを押し付けてしまうのです」
また、自分ができなかった・なれなかった夢を娘に託してしまうケースも多いそう。母親の夢や期待の押し付けは、女の子の成長にとって、どんなリスクがあるのだろうか。
「子どもは、お母さんの期待に応えようと頑張ります。すると、自分がないまま育ってしまいます」
「お母さんがしてほしいことをすると喜び、お母さんがしてほしくないことをすると、喜ばない」ということが、子どもには小さな頃からわかるもの。すると、お母さんの“期待優先”になってしまい、自分がしたいことが見つからないそうだ。
「さらに、お母さんの期待に応えられなかったり、思うようにいかなくなったりすると、突然ひどい反抗期になることや人生に息詰まりを感じてしまうことがあるんです」
実は、これは過度な干渉で子どもを自分の支配下に置こうとする、いわゆる「毒親」のひとつのパターンだとか。しかも、「真綿で締めるように徐々にエネルギーを奪う分、わかりやすい毒親よりも怖い」と諸富先生は言う。
「今は『友だち親子』が多く、フレンドリーに振る舞いつつ、『〇〇ちゃんは、△△やりたいんだよね~』と押し付けるお母さんが多いんです。これは、子どもが押し付けられていることに気づきにくい分、厄介です」
「同性だから」「気持ちがわかるから」「手がかからないから」こそ、お母さんが自分の気持ちを押し付けてしまいがちな「女の子の子育て」。諸富先生のアドバイスは、「親は親、子どもは子どもと、子どもと親は別人格と何度も唱えること」。
女の子のお母さん、自分の子育てを振り返り、今日から取り入れてみませんか?
(田幸和歌子+ノオト)