母乳が足りているか、足りていないかを判断するにはどうすればいいのでしょう? 助産師の平出美栄子さんに伺いました。
「母乳は毎回出る量が違うため、赤ちゃんがどれくらい飲んだのかがわかりません。そのため、赤ちゃんが泣いていると、母乳が足りないのでは? と不安になるお母さんもいるようです。しかし、赤ちゃんが泣くのは、お腹が空いているときだけではありません。まずは、なぜ泣いているのかを探ってみましょう」(平出さん 以下同)
生まれたばかりの赤ちゃんは、環境の変化にとても敏感。たとえば、以下のような原因が考えられます。
・部屋が暑い、着せすぎで暑い
・おむつが汚れて気持ち悪い
・嫌いなにおいがする(料理、洗剤、新築の家のにおいなどで泣く赤ちゃんもいます)
・お腹が空いている/お腹がいっぱい過ぎる
・痛いところがある
ですから、赤ちゃんが泣いている=お腹が空いているとは限らないんですね。逆に、「泣かずによく眠っているから母乳が足りている」というのも間違いなのだそう。
では、母乳が足りているかどうかは、どうやって判断すればいいのでしょうか?
●飲んだ量はおしっこの量で判断
「母乳をしっかり飲んでいるかどうかは、おしっこの量で判断するのがおすすめです。人間は飲んだ分だけ排泄します。赤ちゃんもそれは一緒。1日8回前後、多い子はそれ以上おっぱいを飲みますから、おしっこも7〜8回普通に出ていれば問題ありません。回数が少なかったり、1度に出る量が少ないときは、母乳不足の可能性があります」
ちなみに、うんちの回数は判断材料として適当ではないのだそう。毎日うんちが出ない赤ちゃんもいます。
●数字で見るならベビー用の体重計を
「きちんと数字で知りたいという人は、ベビー用の体重計をレンタルするとよいでしょう(2g、5g単位あり)。体重の増え方には個人差があります。新生児の体重増加は1日30gが目安とされていますが、母乳育児では、そうならないことも多いもの。体重が増えないようなら、母乳外来や助産院に相談しましょう」
助産院の母乳外来や、自治体が開催する乳幼児相談日、新生児訪問でも体重測定を行っています。自治体のサービスは、里帰り先でも受けられる場合が多いので、滞在先の市町村の保健センターなどに問い合わせるのもよいでしょう。
「母乳が出ない…というストレスが、ママの乳首や乳房の働きをダウンさせたりしますので、自分を責めないでほしいです。母乳不足を解消しようとすることだけでも、ママとして充分がんばっている証拠です。ママたちはよくやっていると思います。笑ったり、深呼吸したり、リラックスしてほしい…私の願いですね」と平出さん。
なるほど。「足りていない?」という不安がストレスになってしまうと、おっぱいによくないのですね。まずは、肩の力を抜いて深呼吸。そして、わからないことはひとりで悩まず、専門家に相談してみましょう。
(文・やまもとさくら+クレッシェント)