子どもの歯並びが大切な本当の理由

子どもの歯並びが大切な本当の理由

第1回 お子さんの歯並び大丈夫?
最近、我が子の虫歯のみならず、歯並びについて悩むママが多いと聞きます。歯は抜けるタイミングも生えそろうタイミングもお子さんそれぞれだったりするだけに、人知れず我が子の歯並びが気になったりしますね。そこで、歯並びの大切さや、子供の歯並び管理の時期、小児矯正のことなどについて、小児矯正歯科・キッズデンタル代表の坂部潤先生にお話を伺いました。

男の子のイラスト

歯並びや咬み合わせの問題は万病のもと?

よく“歯並びは大切”と言いますが…

「そうですね。歯並びが悪い、咬み合わせが悪いというのは、厳密に言うとそれ自体が病気ではないわけですね。体型で言えば、肥満と例えが似ていて、太っていること自体は病気ではないわけですが、それがいろいろな病気に派生していきますね?それと同じで、歯並びが悪いことで実はさまざまなことに影響が及んでしまうんです」

では、どんな影響が出てしまうのでしょうか?

「歯並びの問題が及ぼす影響としては、汚れが溜まりやすくなることで虫歯や歯周病など歯そのものに影響があるのはもちろんですが、例えば正しい呼吸や発音がしづらくなったり、モノを食べたりするときの咀嚼(そしゃく)、嚥下(えんげ)の効率が悪くなったり、さらに歯並びが悪いことで見た目に自信が持てず心理的に影響が出る場合もあります。これらのことから、歯並びの重要性は明らかと言えますね」

親の歯並びは子どもに遺伝するの?

歯並び問題が起きる原因は、大きく2つあるという坂部先生。

「ひとつは、遺伝ですね。歯並びが遺伝するということではなく、例えば親子が同じ顔つきになるように、おじいちゃん、お父さんが受け口であれば、お子さんも受け口になる可能性が高くなります。そうなると、アゴなどの顔つきの遺伝から歯並びも同じように影響してくるというわけです。もうひとつは、環境的要因です。指しゃぶりをひと晩中8~10時間毎日続けていることで、歯並びが悪くなってしまったり、片方だけで噛み続けてしまったり、口呼吸になってしまうことで、歯並びに不自然な力が加わり、歯並びがデコボコになる“らんぐい”や、“出っ歯”傾向になってしまう場合もあるんです」

指しゃぶりの画像

歯並び管理は3歳ごろからスタートしよう!

さまざまな影響につながるという“歯並び”。では、何歳くらいからきちっと管理していったらいいのでしょうか?

「症状にもよりますが、咬み合わせや歯並びの管理や確認は、3歳以上のできるだけ早い時期が有効ですね。特に呼吸や発音、姿勢、食べ方などは、3歳~8歳くらいまでに普通は自然に身につくものですが、咬み合わせが適切でなかったりすると、それらが変なふうに身についてしまうんですね。年齢が高くなって矯正治療はできたとしても、クセを改善するのにまた特別な訓練が必要になるなど、より困難になってしまいます」

また、受け口(反対咬合)に関しては注意が必要だそう。

「3歳までは咬み合わせなどもまだ不安定で、大きく変化する時期です。つまり、3歳以下の受け口(反対咬合)も、50%は自然に治る可能性が高いと言われています。しかし、子どもの歯が生えそろって3歳を越える頃には自然に治ることが難しくなる時期になってしまうんです。そのまま放っておくと、骨格的な受け口の傾向が進んでしまう可能性がありますので、3歳以降になったら治療を始めることをおすすめします」

歯科矯正治療は、口の中に装置を入れるなど、ある程度治療への協力性が必要なため、3歳以下のお子さんには実施が困難という理由からも、3歳以降からの歯並び管理が理想だという坂部先生。虫歯予防だけでなく、お子さんのすこやかな成長と健康のために、ぜひその時期がきたら専門医の先生による歯並びチェックも忘れずに!

撮影/岡村智明 構成・文/横田裕美子

お話を伺った人

坂部潤先生
坂部潤先生
キッズデンタル代表 歯学博士(小児歯科学)
大学病院での小児歯科専門医療の実践や米国UCLA小児矯正科への留学経験、また3児の父親としての経験を生かし、多くの子どもたちの継続管理型の小児歯科専門医療を行っている。医療法人 スマイルベア 理事、日本大学歯学部兼任講師(小児歯科学)、日本小児歯科学会認定小児歯科専門医、日本歯科矯正学会会員、UCLA小児矯正歯科客員研究員
大学病院での小児歯科専門医療の実践や米国UCLA小児矯正科への留学経験、また3児の父親としての経験を生かし、多くの子どもたちの継続管理型の小児歯科専門医療を行っている。医療法人 スマイルベア 理事、日本大学歯学部兼任講師(小児歯科学)、日本小児歯科学会認定小児歯科専門医、日本歯科矯正学会会員、UCLA小児矯正歯科客員研究員

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