「鼓膜の奥にある中耳は、耳管という管でのどや鼻とつながっています。風邪のときにはウイルスや細菌が中耳に入り込んで急性中耳炎を起こし、痛みや熱が出てきてしまいます。乳幼児は免疫力が低いですし、風邪の治りかけの時期の耳の痛みは、急性中耳炎であることが多いですね」(田中先生 以下同)
夜泣きする赤ちゃんに急性中耳炎の疑いがあったとしても、休日に耳が痛いと半べそをかかれたとしても、夜間急病センターや休日診療の耳鼻咽喉科はそれほど多くない。新ママであれば特に慌ててしまいそうだけれど、そんなとき、どんな応急処置をすればいいの?
「耳の痛みを訴えているのであれば、急性中耳炎も含め、炎症を起こしていると考えられます。そういう場合の応急処置としてはまずは冷やしてあげること。ビニール袋に氷水を入れたりして耳のあたりを冷やすと、だいぶ痛みが和らぐはずです。風邪の後の耳の痛みは急性中耳炎であることが多いですが、もちろん外耳炎やおたふく風邪、あるいは歯やのどの痛みが影響している可能性もある。いずれにせよ、痛みの原因は炎症であることがほとんどですから、冷やしてあげるのは効果的だと思います」
それでも耳の痛みが収まらないようであれば、次の応急処置は手持ちの薬で対応すること。小さいお子さんのいる家庭ではかかりつけのお医者さんから万が一のために薬をもらっていることも多く、それを服用して様子を見てほしいという。
「冷やしてもあまり改善が見られない場合、家にある痛み止めや熱冷ましの座薬といったアセトアミノフェン系の薬を使ってもらって問題ありません。それで一時的にしのいでもらって、次の日に病院で診察を受ければ大事には至らないはずです」
田中先生いわく、急性中耳炎や外耳炎といった耳の病気が大病につながるケースは極めて少ないとのこと。急な耳の痛みが重症である可能性も低く、それほど慌てる必要はないようだ。
夜間や休日の急な耳の痛みに対しては、「冷やす」または「手持ちのアセトアミノフェン系の薬」で救急処置。そして翌日に通院してしかるべき診察と治療を受けることで、子どもの健康をしっかりと保ってあげよう。
(二本松菊子+ノオト)